2016年12月24日土曜日

Bob Dylan No Ddirection Home (2005)

1961年から1966年の Bob Dylan の軌跡をドキュメントしています。
焦点を当てているのは、1965年の ニューポート・フォーク・フェスティバルでの、ブルーズ・バンドを従えた演奏以降です。

これでもか、というくらいの、コンサートでのブーイングの嵐。
Joan BaezPete Seeger をはじめとする同じフォーク仲間からの非難。
Dylan の音楽を聴いたこともないメディアからの、プロテスターとしてのレッテル貼り。

この時代にフォーカスした  Martin Scorsese 監督の手腕に脱帽です。
この非難に対して、 Dylan も決して平然だったわけではなく、戸惑い、困惑し、それでも自身が表現したい音楽を進めていく姿を捉えています。何度も作風を変えた Pablo Picasso しかり、ロックとファンクを取り入れた Miles Davis しかり、NYに渡ってラップを始めた佐野元春しかり。周囲の批評に屈せず、チェンジに対してチャレンジする姿は感動を覚えます。

1966年にバイク事故を起こすまで、"Bringing It All Back Home"、"Highway 61 Revisited"、"Blonde on Blonde” という、ロックサイドの傑作アルバムを世に出しながら、結局コンサートではオーディエンスに認められることがなかったようです。
バイク事故から復活しながらも、その後8年間ツアーに出ることがなかった、とフィルムは閉められています。

2016年12月10日土曜日

時代屋の女房 (1983)

1983年だから、僕が高3のときの映画です。

この映画は何と言っても夏目雅子です。きれいですよね。まさかこの後すぐ死んでしまうとは思ってもいませんでした。

影がありながらも、ぱっと明るい、時折いなくなり、ふらっと帰ってくる猫のような魅せられる女性です。

しかしやはり時代、今どきこんな女性の描き方はしないかな。
しかも、喫茶店のマスター、銭湯、一杯飲み屋、歌謡曲.....こういう時代だったんですよね。僕の生きていた時代は。

2016年12月5日月曜日

STAR WARS : Episode I-III

Episode I : The Phantom Menace (1999)
Episode II : Attack of the Clones (2002)
Episode III : Revenge of the Sith (2005)



新3部作の主役は、オビ・ワンかアナキンか。
旧3部作よりはよほど深い内容となっていますが、少しシリアスすぎるかもしれません。

旧3部作では、勧善懲悪のストーリーですが、新3部作では善と悪は表裏です。感情が豊かなアナキンは、フォースの暗黒面に落ちやすい、という設定です。しかしそれは、愛情が強すぎたため。少し自分に自信がなく、少し悪い方に捉えてしまうため。
そういったことは、人間なら当たり前にあることです。つまり、人間はちょっとしたことで、悪に堕ちてしまう存在なんですね。

民主自由陣営と独裁陣営の戦いは、20世紀を代表する戦いでもありますし、現代も同様ですが、3部作を通じて破滅に向かうストーリーは、スカッと感はありません。
救いは、新しく生まれたルークとレイアであり、僕らは先に見たエピソード6で見せたダース・ベイダーに残っていた良心でしょう。

興行成績は思ったより伸びなかったようです。
旧3部作が作り出したSF冒険ムービーというジャンルが、16年経つうちに自身より発展して、追い越してしまったんでしょう。

2016年11月27日日曜日

STAR WARS : Episode V-VI

EPISODE V:THE EMPIRE STRIKES BACK (1980)
EPISODE VI:RETURN OF THE JEDI (1983)


前作(第1作)と打って変わって、見事なSF活劇になっています。
前作の成功で、ふんだんにお金を使えることになったのと、いいスタッフを集められるようになったんでしょうね。

この2作は完全につながっていて、上映間の3年間は待ち遠しかったものと思われます。僕はこの当時、別にスター・ウォーズにはまっていたわけではないので、特に何も思いませんでしたが。

ストーリーは例によって陳腐ですが、特撮の宇宙の美しさが光ります。ファルコンも模型を作ったと言いますから、この当時の特撮の大変さが分かります。いまなら3D-CGでしょう。
当時のテクノと同じように、このSF特撮というジャンルは、少年を熱狂させるのにたる何かを持ってるんでしょうね。怒り(Anger)と怖れ(Fear)と攻撃(Aggression)がフォースの暗黒面に通じる、というヨーダの発言は当時の少年に響いたんでしょうか。

そう言えば、 "I'm your father." は、Toy Story でもパロディられてました。


2016年11月20日日曜日

ソロモンの偽証 (2015)

映画の途中で、告発文は偽物、死因は自殺、という構図ははっきりしていたので、これを前編後編の2本の映画にまで引き延ばす必要があったのか、という感じるほど、少し長さ感が強い映画でした。

主題は事件の全容解明ではなく、登場人物の心模様を描くことにあるのでしょう。
自殺した生徒から偽善者と言われた生徒、すれ違う親子関係。
一人ひとりが事件と自分に向き合い、生きることとは何か、人生とは何かについて考える、そんな内容です。

かといって、何か深い洞察があるストーリーではありません。ただ、真剣に、まっすぐに向き合う勇気、の印象が強く残る映画でした。

STAR WARS (1977)

何回観ても、画面展開もストーリーも陳腐だなと思います。スタートレックやウルトラマンに毛が生えた程度だと思うんです。
ただ、サイエンスフィクションの中にフォースといった古代感覚を持ち込んだり、ライトセーバーに代表されるようなレーザー光線の使い方、ダース・ベイダーやR2-D2みたいに立ったキャラという要素がヒットにつながったんでしょう。

ルーカスの構想を実現しようとしても、映画技術に対して時代が早すぎたと思いますし、ルーカスの元に十分に有能なスタッフが集まってなかったのではなかと感じます。

大人向けではなく、子供向けの映画ですが、ルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロ、ダース・ベイダー、オビ・ワン・ケノービ、P3CO、R2-D2、レイア姫といった強烈なキャラクターと、宇宙戦争という広大な設定が、子供たちだけではなく、大人たちもワクワクさせたのは間違いありません。

2016年9月25日日曜日

Inside Out -インサイド・ヘッド- (2015)

原題は "Inside Out" らしいですね。
頭の中のことなので、日本語タイトルも正しいように思いますが、確かにメッセージとしては "Inside Out" の方が広がりがあると思います。特に、"Joy" と "Sadness" の関係は "Inside Out" なのかもしれません。

内容的には、キャッチコピーどおり、みんなの物語です。
誰にでもある、家族や友達との離反やここというタイミングでの失敗などを題材にしているからです。

感情という見えないものを見えるようにした、というアニメーション独自の表現追及のアイデアが素晴らしいですね。
そういった概念的な映画なのに、涙が出ちゃうというのが、ピクサーのうまいところなんでしょうね。

Joy、Sadness、Anger、Disgust、Fearといった感情のせめぎあいがあるということを意識するだけで、人生は変わるかもしれません。

2016年9月19日月曜日

Rain Man (1988)

サヴァン症候群は、自閉症の一種だと思いますが、その能力と興味は生活に役立たないのが残念です。

少し前に、自閉症の人は、同じ景色を見ても、通常の人とは視点が違う、という研究結果を見ました。
この映画でも、主人公の兄レイモンドは、送電線、ガードレール、テレビ.....そういったものに注意を惹かれています。

実際はこの映画のように、心を通わすことは難しいのかもしれませんが、そこは映画です。
たとえ兄は変わらなくても、弟の心の変化が主題なのでしょう。
はじめは恋人にさえ心を閉じていた弟が、兄との交流の中で、次第に心を開いていきます。
どっちが自閉症だって話ですね。

2016年8月27日土曜日

I am Sam (2001)

父と娘の愛情が素晴らしい。何度も涙が出ました。
また、この映画は仕事に追われ家族が壊れてしまった女性弁護士の再生物語でもあります。主人公サムの純粋な愛情に触れ大切なものに気づいたのでしょう。

Lucy: Daddy, did God made for you to be like this or was it an accident?
Sam: Ok, what do you mean?
Lucy: I mean you're different.
Sam: But what do you mean?
Lucy: You're not like other daddies.
Sam: I'm sorry. I'm sorry. Yeah, I'm sorry.
Lucy: It's ok, daddy. It's ok. Don't be sorry. I'm lucky. Nobody else's daddy ever comes to the park.
Sam: Yeah! Yeah! Yeah, we are lucky. Aren't we lucky? Yeah!

何と優しく、ピュアな会話でしょうか。
知的障害者の父を持つことがラッキーだと言える娘、社会みんながそういう風に思えればいいのにね。

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n345/n345020.html

僕だけがいない街 (2016)

漫画の映画化らしい。飛行機で見ました。

藤原竜也は、なぜか惹かれる俳優です。

タイムリープによるサスペンスですが、子供時代にまで戻ってしまうのが特色あります。
メインストーリーは子供時代の連続誘拐殺人事件です。子供時代の事件を変えることによって、今を変える。
ヒューマンドラマ的な感動はありませんが、ちょっとした勇気で未来を変えられるかも、と思わせます。

行きの飛行機で、もうちょっとのところで着いてしまって、続きが気になりながら、帰りの飛行機で最後まで見れました。

2016年7月20日水曜日

About Time (2013)

タイム・トラベラーの系統を持つ主人公が時間の大切さを理解していく、というちょっと変わった設定の、Richard Curtis 監督ヒューマン・コメディ。

セリフのひとつひとつにウィットが効いていて、観ていて楽しいし、ハッピーになれる映画です。
Rachel McAdams の笑顔もいいですが、父と子のやり取りは泣かせます。

父の教えもあり、平凡(Ordinary)な日々の一瞬一瞬が、大切な人生の一場面なのだと、あるとき主人公は気づきます。コンビニの店員の顔をしっかり見て、彼女の笑顔に気づくことができた、そういったことが大事なのです。

やり直しの効かない人生ですが、今という時間を大切にするかしないかは、自分の心の持ちようでしょう。

2016年7月17日日曜日

Platoon (1986)

知らなかったですが、"Platoon" って小隊ってことなんですね。冒頭に "September 1967 - Bravo Company, 25th Infantry..." とクレジットされますが、「第25歩兵師団のB中隊」ということだそうです。
その小隊を舞台にして、ひとことで言うと戦争の不条理を描いています。

戦争の中にも良心を貫こうとしたエリアス軍曹、生き残り方を知り抜いているバーンズ軍曹、実戦経験が少なく頼りない小隊長、アンブッシュ、行軍、トレンチ、麻薬、レイプ、仲間割れ、罪のない住民の惨殺、人種差別、虫、ヘビ、士気の低下、仲間の死...
最後には小隊がほぼ殲滅状態となってしまう中、主人公は瀕死のバーンズを撃ち殺します。
しかし、勧善懲悪の構図ではなく、主人公は、最後に自分はエリアスとバーンズの子のようだと言います。
良心は必要ですが、そもそも戦争自体が殺人である以上、きれいごとでは済みません。自由な部隊ではなく統率の取れた部隊でなければ生き残れません。騙されないようにするには脅しも必要になります。

これは戦争という非常時の姿なのか、それとも人間社会の縮図が非常時にあぶり出されているのか。

2016年7月9日土曜日

Avatar (2009)

もう7年前になりますか! 当時3Dが流行ったよね! 劇場で見たときはさすがにすごかった。
その映像美もさることながら、世界観がすばらしい!

痛烈な人類批判。あるいは世界を征服していった西欧文明批判。
自然と調和した豊かな生活を営んでいる種族を、猿と呼び、物欲のために恐怖と力で征服していく。

おそらく、古代の人類も、このパンドラのナヴィのように、自然とつながっていたんだろう。自然と一体となった、特別な能力を持っていたんだろう。人類は、古代からみてどんどん退化している、そんな話も聞いたことがあります。

豊かな感性、自然と対峙するのではなく自然と共生するライフスタイル、この映画はそういったものがなくなっていくことに対する警句なのでしょうか。

さらに、アバターではなく、自分の生を生きろ、とも言われているようです。

2016年7月3日日曜日

くちびるに歌を (2015)

アンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフにした青春映画。

恋人が交通事故で死んだのを自分のせいと感じている臨時教師、父に裏切られたと感じている両親のいない合唱部の部長、自閉症の兄の面倒を見るために生まれてきたと人生を捉えている男子部員。
それぞれの困難な人生を抱えながら生きている様々な人たちが、みんな一人ではないと気づきながら再生する物語です。

僕がこの中で一番心を動かされたのは、自閉症の兄の存在です。
この障害で、なかなか普通の生活はしづらいのですが、人の心は分かってあげられ、また彼なりに自分は生まれてきてよかったのだろうか、と思っているようなのです。彼の気に入っている「船の出港の汽笛音」がこの再生の物語のカギになっています。
アンジェラ・アキの書く歌詞には「人生の全てに意味がある」と言いますが、全ての人生に意味があるということなのでしょう。

長崎五島列島の美しい自然がふんだんに、ときには執拗に使われており、音楽や俳優の美しさと相まって、ピュアさを引き立たせています。

こうして、十五才であろうとなかろうと、将来や過去の自分に手紙を書いてみるのも悪くないかも、と思いました。

2016年6月19日日曜日

功夫 Kung Fu Hustle (2004)

久しぶりに観ました。
最高のエンターテインメントですね。
教訓も何もなく、ひたすら娯楽に徹しているところが素晴らしい。

周星馳の映画は、これと"少林サッカー"しか知りませんが、どっちもスカッとします。
血が飛び散り、肉体がダメージを受ける、あまりに暴力的なシーンは子供には見せられませんが。

ワイヤーアクションなどの特殊技術の発達も、こういう映画ができる素地になっているとは思いますが、それをうまく使いこなして、自分のやりたいことを表現するということには、天才を感じます。

2016年5月6日金曜日

As Cool as I Am (2013)

一見幸せな家族が壊れていき、バラバラになるまでのストーリー。
特に悲惨な感じはなく、どうしようもないよな、アメリカってこんなことよくあるんやろな、てな感じです。

まあ、それにしても冴えない田舎町ですね。アメリカにもこんなとこあるんですね。大自然あふれるアメリカでもなく、大都会のアメリカでもなく。
両親もこの町で出会い、この町で子どもを産み、主人公の恋人も幼馴染。
狭い空間で完結する人生から、おそらくみんなが出て行くんでしょうね。

それにしても、シチュエーションも筋書きも俳優もすべてイマイチ。そこを狙ってたらすごい。


Havoc (2005)

金持ちのお譲さまが、退屈から刺激を求めてダウンタウンに行き、そのことが殺人事件に発展するというストーリー。

大都会LAの高校生って乱れてるのね。
いきなりの暴力シーンでいやな感じしましたが、そのテイストがずっと続きます。

ただ、ヒスパニックのチンピラのところに行ったときは、もっとバイオレンスになるのかと思いましたが、それほどひどいことにならず、ほっとしましたが、映画としてはどうなのかと。

寂しさと退屈からの火遊びの心の闇と、友情を大切にする心。残念ながらただそれだけか。


2016年5月3日火曜日

Crazy Heart (2009)

ブルーズ色の強いカントリー・ミュージックと、乾いた平原とハイウェイ、美しい空と雲、ウィスキーとカウボーイ・スタイル、なんとも気持ちのよい映画です。

主人公の落ちぶれたカントリー・シンガーは、アル中で57歳の老いぼれ、町から町へとドサ周りの巡業、ウェストコーストのある町で出会った親子と恋に落ち、それをきっかけに人生を再生していくという物語です。

ストーリー的には劇的に驚くようなこともなく、この映画がなぜアカデミー賞を取ったのかはよく分かりません。しかし、映像と音楽、空気感と暖かい人間模様が、映画全体の統一感のある雰囲気を作っています。

ラストシーンの空の美しさは圧巻です。


2016年5月2日月曜日

永遠の0 (2013)

原作の小説を読んでいない私ですが、強く心を揺さぶられる映画でした。

戦争を舞台にし愛を主題にしたヒューマンドラマです。コピーに「その祈りが、いま、時を超えるー壮大な愛の物語。」とありますが、よく表わしています。

まず、これはフィクションだということを忘れてはいけません。これが、当時の太平洋戦争の実態だと思いこまないことです。
その上で、主人公の家族のために命を大切にする姿勢に、最初は少し違和感を感じました。これは、戦後数十年経ったアメリカ的あるいはキリスト教的な思想からの現代発想ではないか、と思えたからです。
しかし、よく考えてみると彼の言っていることは正しく、戦争とは生き残り、敵を殲滅することが勝利なのですから、ごく正常な発想のはずです。確かに死を覚悟しないと戦闘はできませんが、生き残る努力のない「特攻」のような戦いは作戦ではありません。
現に、多くの勇敢で優秀な人たちが真っ先に死んでいってしまったことは、日本にとって大きな損失だったでしょう。(なぜそういう人たちが死ななければならなかったのか)

さらに、これは、主人公に「生かされた」人たちの物語でもあります。人に影響を与えようと思っていたわけではなく、その生き方が、それぞれの人たちの戦後の生き方に影響を与えています。「誰かに生かされている」という感覚は、実は僕には分かりませんが、存外一番大切な感覚かもしれません。
一方で家族や人を「生かす」姿勢を貫く主人公の生き方自体もすごいことだと思います。こんな人が実際にいるのかどうか分かりませんが、自分もできるのものであれば、このような生き方を試みてみたいとも思います。

永遠の0とは、ゼロ戦で散った主人公の思いが、生き残った人たちや子どもたちを通じて生き残り、後世に語り継がれるという意味でもあります。僕が生まれたのは戦後20年、今から思えばついこの前のはずですが、既に戦争は遠い昔のことのようでした。

なお、戦闘機や被曝する空母の再現、美しい空撮は素晴らしい映像でしたが、あざといカット割りや大げさなBGMに過剰演出を感じ、少しだけ残念でした。

2016年4月24日日曜日

The Way Way Back (2013)

タイトルは、映画の冒頭とラストで主人公の少年が車に後ろ向きで座っていることを指すのか、帰り道までのさまざまなできごとを指すのか。

根暗の14才の少年が、プール・パークでのバイトと働く人たちとの交流を通じて、心を開放して行く物語。

基本的には、"Catcher in the rye"です。
リゾート地の浮かれた大人たちの世界は我慢ならない。母親も別の世界に行きそうで不安、どこにも自分の居場所がない。ナイーヴ。
プール・パークの冗談ばかり言うおかしな友達オーウェンは、自分を認めてくれ、”You gotta go your own way. And you are going your own way."と言ってくれます。
家から自転車で外に出るときのBGMが、いつも軽快なのが印象的です。

バカンスはいつまでも続きませんが、帰るときには何かを得て成長した少年の姿があり、ラストは少しだけハッピーな気分になれる、青春の香りのするコメディです。

プール・パークでの送別パーティの音楽に"Sneakin' Sally Thru The Alley"が使われているのが気に入りました。


2016年4月16日土曜日

桜、ふたたびの加奈子 (2013)

小学校入学の日に交通事故で娘を亡くした夫婦の物語。

生命の循環、リインカネーションを主題にしていることから、映像に円環が多用されているようです。確かに。それに心理状態の不安定さを演出するカメラワーク、不安を掻き立てる音楽。

そして、この夫婦の物語に出口はあるのか。子どもの死と向かい合うなんて、胸が苦しすぎるシチュエーションです。時間が解決する、ということかと思っていましたが、そういうわけでもなく、胸のモヤモヤが晴れないまま。

原作がソフト・ホラーかミステリーのようなので、幽霊、転生、そういったテイストで見るのがいいかもしれません。


2016年4月3日日曜日

Star Wars : The Force Awakens (2015)

ストーリー自体は、いたって陳腐なものですが、昔から観ている人はたまらんでしょうね。
白髪のハン・ソロや、年とったレイア姫が出てくるんですから。
今作は家族の絆を中心に、やはり勧善懲悪が軸です。
"May The Force Be With You"

上京ものがたり (2013)

北野きい主演の青春ムービー。

貧しい家庭から東京の美大に進学した主人公ですが、東京の街に飲み込まれていきます。
さらに、出てくる人たちが全てダメな方向へスパイラル・ダウンして行きます。
英語の副題の"Tokyo Looser"の方がピッタリ来るような内容です。
「夢」を追いかけて、といった風に書かれることが多いようですが、僕はそうは思いませんでした。

むしろ、今の状況を何とかしたいと、必死にもがいているうちに、出口が見えてきた、という生き様が主題ではないかと思います。
登場人物たちが言う「生き続ける」「描き続ける」、というセリフが後になって去来します。

Looserたちの生き様、それは僕たちの物語でもあります。

2016年1月24日日曜日

October Sky (1999)

夢と現実、さびれる炭鉱の町、友情、信じてくれる師、父と子、母と父、兄と弟...
さまざまな要因が絡み合った物語ですが、トゥルーストーリーなので、フィクションのようなあざとい展開はありません。

ハイライトは何と言っても、映画の後半での父子のやりとり。
あこがれのブラウン博士に会ったんだろう、という父に対して、「彼はヒーローじゃない」という子。彼のヒーローは、炭鉱で人を助け、正義感と責任感が人一倍強い父だったんですね。

僕も親として、感じるところが大です。
僕は子にとって、家族にとって、誰かにとってヒーローと感じられる存在なんだろうか?


2016年1月11日月曜日

超高速! 参勤交代 (2014)

「5日で参勤せよ」というお上の命令に従い、江戸に向かう間のドタバタ劇。
悪者がはっきりしていて、非常に分かりやすく、最後に勧善懲悪となることに加えて、すべてがハッピーエンドに向かうストーリーが気分を良くさせてくれます。

何よりも、武士たちの竹を割ったような性格と、前近代のおおらかな空気感が爽やかです。