2016年7月3日日曜日

くちびるに歌を (2015)

アンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフにした青春映画。

恋人が交通事故で死んだのを自分のせいと感じている臨時教師、父に裏切られたと感じている両親のいない合唱部の部長、自閉症の兄の面倒を見るために生まれてきたと人生を捉えている男子部員。
それぞれの困難な人生を抱えながら生きている様々な人たちが、みんな一人ではないと気づきながら再生する物語です。

僕がこの中で一番心を動かされたのは、自閉症の兄の存在です。
この障害で、なかなか普通の生活はしづらいのですが、人の心は分かってあげられ、また彼なりに自分は生まれてきてよかったのだろうか、と思っているようなのです。彼の気に入っている「船の出港の汽笛音」がこの再生の物語のカギになっています。
アンジェラ・アキの書く歌詞には「人生の全てに意味がある」と言いますが、全ての人生に意味があるということなのでしょう。

長崎五島列島の美しい自然がふんだんに、ときには執拗に使われており、音楽や俳優の美しさと相まって、ピュアさを引き立たせています。

こうして、十五才であろうとなかろうと、将来や過去の自分に手紙を書いてみるのも悪くないかも、と思いました。

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