2026年10月25日日曜日

Wの悲劇 (1984)

"天国にいちばん近い島" と併映だったらしいので、僕も観たんかなぁ....

薬師丸ひろ子主演の、角川アイドル映画です。
「顔、ぶたないで、わたし、女優なんだから」のセリフで有名ですね。
薬師丸ひろ子20歳で、映画の中でも20歳の役です。
お相手は世良公則。実際は29歳のはずですが、26歳の役です。70年代終わりに一世を風靡したツイストが解散した後です。
青春映画の相手役としては、改めて観ると違和感がありますね。

少し大人の薬師丸ひろ子を意識して作られたようですが、やはりまだまだ子供。
監督は、"野菊の墓" でデビューした澤井信一郎ということで、アイドル路線です。

40年前ともなると話し言葉が違和感あります。
男に対する女のか弱さも今となっては不思議な感じです。
それでも性に比較的開放的であったり、最後は一人で生きていこうと決意するあたり、当時の女性の自立の風潮の高まりを反映してると思います。

ちなみに、夏樹静子の小説 "Wの悲劇" は映画の中の劇中劇として取り上げられています。映画のストーリーとは別ものなんですが、微妙に劇ストーリーと映画ストーリーが重なっていきます。


  • 監督:澤井信一郎
  • 脚本:荒井晴彦、澤井信一郎
  • 出演:薬師丸ひろ子、三田佳子、世良公則、三田村邦彦


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ダウン・バイ・ロー (1986)

"ファーザー マザー シスター ブラザー" が11月に日本で公開になるということで、ホントに久しぶりに観てみました。

Jim Jarmusch の寂寥感のある独特の空気感は、デビュー作 "Permanent Vacation" や 前作 "Stranger Than Paradise" に通ずるものがありますが、今作が大きく違うのは、イタリア人アクター Roberto Benigni の起用で喜劇テイストがプラスされていることです。
彼の使うカタコト英語や、半端に覚えた英語の諺、スラングなんかがこの映画の中核を成していると言ってもいいように思います。

それと、Tom Waits の音楽でしょうか。Jim Jarmusch 自身、映画を撮るに当たって、Tom Waits の曲が頭に残っていたと言います。
観終わった後で、僕も思わず "Rain Dogs" (1985)と、"Closing Time" (1973)を聴き直してしまいました。

この2人に、盟友 John Lurie が加わり、3人の "Down by Law" 物語が進みます。(ちなみに "Down by Law" は刑務所のスラングで、親しい兄弟のような間柄を言う)

刑務所に入るまでのシーン、刑務所内でのシーン、脱獄後の逃走シーンと進行し、最後は3人それぞれの道に進んで行くというロード・ムービーですが、何となくハッピー・エンディングを思わせるのは、やはり Roberto Benigni 演じるロベルトの存在なのかもしれません。

ロベルトとニコレッタの朝食時のダンス・シーンは特徴的ですよね。


  • 監督:Jim Jarmusch
  • 脚本:Jim Jarmusch
  • 出演:Tom Waits, John Lurie, Roberto Benigni, Nicoletta Braschi, Ellen Barkin


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2026年9月27日日曜日

マチネの終わりに (2019)

「マチネ」というのはこの映画を観るまで知りませんでしたが、昼公演のことだそうですね。
元は午前という意味だったそうですが、今では昼2時頃に始まる公演のことを指すことが多いようです。
午前でもなく、午後の真昼でもなく、夕方になる前頃の時間帯が「マチネの終わり」ということでしょうか。
人生で言えば、青春は過ぎて、中年に差し掛かる頃ですかね。

主人公はクラシック・ギターの演奏家ですが40くらい、師匠はもう老人になろうとしています。共演した若手ギタリストは20歳、ということで、その対比の中でも主人公の年齢的立場が象徴されています。
ギターと人生に迷い始めた頃に出会う男女。
恋愛をするには残り時間が微妙です。

ストーリーは、燃え上がる思いとすれ違いを軸に進んでいきます。
美男美女によるメロドラマで、あまり境遇に共感はできませんでした。
世界的ギタリストとフランスを活動拠点にしているジャーナリスト、という設定からして想像の範囲を超えています。

映画の中では「過去は未来の行動によって書き換えられる」というテーマが何度か繰り返し出てきます。
今苦しい思いをしていても、未来に過去を振り返った時、良かったと思えるかどうかは未来次第、ということです。
そういう考え方をすると、ポジティブに今を一生懸命生きようと思えるかもしれません。
そう言えば、先日観た同じ原作者の映画「ある男」も、過去、現在、未来の中で、変えられない過去に苦しんでいる人の話でした。


  • 監督:西谷弘
  • 脚本:井上由美子
  • 原作:平野啓一郎『マチネの終わりに』
  • 出演:福山雅治、石田ゆり子、桜井ユキ、板谷由夏、古谷一行


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蛇にピアス (2008)

舌へのピアス、刺青、SM、とかなり胸が悪く、もう一回観ようという気は起きませんでした。

若者の閉塞感、人生に希望を持てないどうしようもなさ。
塞がった状況からか、人体改造や痛みにリアルさを求める生活。
なんの光もなく映画は進み、終わっていきました。

吉高由里子の初主演映画、という点では観る意味があるかもしれません。
撮影時、物語の主人公と同じ19歳で、刺青と同じ飛龍的な勢いがあります。

リアルな実写でありながら、舌の描写はCGを駆使していて、金はそれなりにかかっていそうでした。
特に、ゲストが豪華。市川 猿之助、藤原竜也、唐沢寿明、小栗旬がほんとにちょい出してます。この辺りは、蜷川幸雄の人脈なのか、プロデューサー宇野康秀の影響力なのか。

映画の中に出てくる携帯は、まだスマホじゃないですね。iPhoneが日本で発売されたのは2008年らしいですから。

原作は金原ひとみで、彼女のデビュー作であり、芥川賞受賞作でもあります。


  • 監督:蜷川幸雄
  • 脚本:宮脇卓也、蜷川幸雄
  • 原作:金原ひとみ『蛇にピアス』
  • 出演:吉高由里子、高良健吾、ARATA(井浦新)


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ある男 (2022)

フランス映画のようなタイトルですが、短くてインパクトあります。
原作は平野啓一郎による2018年の小説で、読売文学賞も受賞しているみたいですね。

3年9か月一緒に過ごした夫が死んだが、名乗っていた氏名や出自が全く別人のものだったというミステリー。
夫婦たち、主に死んだ夫の人生に、調査を依頼された弁護士の人生、死んだ夫がなり代わっていた人の元恋人の人生が輻輳的に絡まってきます。
犯罪の匂いを振り撒きながら、結局は自分ではどうしようもない出自からの逃避にたどり着きます。
在日3世の弁護士は、死刑囚の父を持つ死んだ夫、老舗の温泉旅館の次男である成り代わられていた男の人生に共鳴していき....

名前や出自が嘘でも、今ここに実在していることが真実だということ、出自を乗り越えられない人もいるということが心に残りました。


  • 監督:石川慶
  • 脚本:向井康介
  • 原作:平野啓一郎『ある男』
  • 出演:妻夫木聡、窪田正孝、安藤サクラ、柄本明、清野菜名


https://k-hirano.com/a-man


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2026年9月21日月曜日

ルックバック (2024)

敬愛する是枝裕和が実写版映画を手がけたことがきっかけで、アニメ版を観てみました。

58分という短編映画で、ストーリーはごくシンプルなものですが、かなり心を動かされました。
2回観たんですが、2回目は涙が止まりませんでした。
主人公のピュアさが心痛い。

ルックバックですから、振り返るってことです。
映画の終盤は、この振り返りが描かれていて、まさにこれが「ルックバック」です。
ルックバックした時に、なんとなく感じてたけど、改めてのひたむきさ、ピュアさ、献身、自分の人生への自信を与えてくれたことを思い返す。
主人公はこれに応えるように、これからの人生を生きていくことでしょう。

ストーリーの中心になっているのが「絵」で、舞台の秋田・山形の風景描写が美しい!
また、エンドロールで、背景の景色が早朝から、深夜まで移り変わっていく様子は驚きでした。どうやって描いたんだろう?すごい!


  • 監督・脚本:押山清高
  • 原作:藤本タツキ
  • 出演(声):河合優実、吉田美月喜

https://lookback-anime.com


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2026年8月16日日曜日

ミーツ・ザ・ワールド (2025)

 杉咲花はすごいね。演技が。

「ミーツ・ザ・ワールド」は金原ひとみの小説の映画化です。
「ミーツ」ということは、一人称の彼女なのかな。まさに、杉咲花演じる主人公由嘉里が世界と触れていくストーリーです。

テーマは腐女子と歌舞伎町。
僕は世間に疎いので、「腐女子」が何なのか知りませんでした。でもひどくない?ネーミング。
腐女子としての自分に自信が持てずに、生きづらさを感じている由嘉里。
同じく生きづらさを感じているキャバ嬢ライと出会い、歌舞伎町に引き込まれていきます。

歌舞伎町は銀行に勤める由嘉里にとっては異次元の世界ですが、そこの住人は由嘉里のことを優しく迎え入れてくれます。というか、いいも悪いも何でも飲み込んでいくんでしょうね。
由嘉里の好きなアニメもみんな真剣に見てくれるのに感動しました。

歌舞伎町の人たちとの交流を通じて、他人は他人、自分は自分、自分で何が悪いんだ!と気づいた主人公は、自信を持ち始めます。その代わり、他人とは分かり合えないということにも気付かされますが。

久しぶりに心を動かされた映画でした。思わず2回続けて観てしまいました。

エンドロールで菅田将暉の名前が出てきて、え?と思いましたが、そういえばあの声....関西弁でしたね。


  • 監督:松居大悟
  • 脚本:國吉咲貴
  • 原作:金原ひとみ
  • 出演:杉咲花、南琴奈、板垣李光人、蒼井優、渋川清彦


https://mtwmovie.com


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