2026年8月16日日曜日

ミーツ・ザ・ワールド (2025)

 杉咲花はすごいね。演技が。

「ミーツ・ザ・ワールド」は金原ひとみの小説の映画化です。
「ミーツ」ということは、一人称の彼女なのかな。まさに、杉咲花演じる主人公由嘉里が世界と触れていくストーリーです。

テーマは腐女子と歌舞伎町。
僕は世間に疎いので、「腐女子」が何なのか知りませんでした。でもひどくない?ネーミング。
腐女子としての自分に自信が持てずに、生きづらさを感じている由嘉里。
同じく生きづらさを感じているキャバ嬢ライと出会い、歌舞伎町に引き込まれていきます。

歌舞伎町は銀行に勤める由嘉里にとっては異次元の世界ですが、そこの住人は由嘉里のことを優しく迎え入れてくれます。というか、いいも悪いも何でも飲み込んでいくんでしょうね。
由嘉里の好きなアニメもみんな真剣に見てくれるのに感動しました。

歌舞伎町の人たちとの交流を通じて、他人は他人、自分は自分、自分で何が悪いんだ!と気づいた主人公は、自信を持ち始めます。その代わり、他人とは分かり合えないということにも気付かされますが。

久しぶりに心を動かされた映画でした。思わず2回続けて観てしまいました。

エンドロールで菅田将暉の名前が出てきて、え?と思いましたが、そういえばあの声....関西弁でしたね。


  • 監督:松居大悟
  • 脚本:國吉咲貴
  • 原作:金原ひとみ
  • 出演:杉咲花、南琴奈、板垣李光人、蒼井優、渋川清彦


https://mtwmovie.com


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2026年8月10日月曜日

木挽町のあだ討ち (2026)

源孝志監督・脚本ということで興味を持って観ました。

基本ミステリーなんでしょうが、観終わったあと何だが清々しい気分になるのは、源孝志監督のなせる技なんでしょうか。それとも永井紗耶子の原作によるものなんでしょうか。

原作「木挽町のあだ討ち」は2023年に山本周五郎賞、直木賞を受賞している時代小説です。いずれも大衆小説が対象のようですので、ピッタリかもしれません。

江戸後期の、江戸文化が最も栄えた時代に舞台を設定しています。
昨年の大河ドラマの蔦重のちょっと後の時代ですかね。
芝居小屋という世間的な「悪所」を舞台に、粋な人間模様を描きます。
木挽町は、舞台である森田座がある場所。そこに隣接する場所で起きた仇討ち事件の真相が徐々に明らかになっていきます。

まず最初の芝居小屋の明かりが川面に映る様や小屋から人が出てくる傘の模様、雪の景色が美しい。
この最初のシーンが一番の見せ所だからでしょうか。
一面の雪と血潮の対比と、仇討ちというドラマ性が人々の心を掻き立てる場面。

真相を探している柄本佑演じる主人公がいい味を出しています。腹が据わっているが、人の懐に入るのがうまく、ついつい身の上話などを話してしまう。

ミステリーというほど緻密に組み立てられておらず、「なんで?」と思わせるところは多くありますが、筋あかしはこの話の主題ではありません。

タイトルの「あだ討ち」と「あだ」がひらがなになっているのは訳があります。
仇討ちの筋書きでは「徒討ち」という字が当てられているからです。


  • 監督・脚本:源孝志
  • 出演:柄本佑、渡辺謙、長尾謙杜、瀬戸康史、滝藤賢一、山口馬木也、正名僕蔵、石橋蓮司、沢口靖子、北村一輝


https://www.kobikicho-movie.jp


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2026年7月5日日曜日

Project Hail Mary (2026)

人間と異星人がそれぞれの惑星を救うというちょっと奇想天外なSFです。というか、SFは元々奇想天外ですが。

原作は「オデッセイ(火星の人)」の Andy Weir。
「火星の人」は確か、火星に一人取り残される話だったと思いますが、今回も一人取り残されるという、同じパターンのものです。ただ、今回は一人ではなく、異星人との交流という点で少し進化しています。
ハードなSFというよりは、SFを舞台としたヒューマンドラマですかね。そういった要素が映画には必要でしょう。

太陽のエネルギーが弱くなっている原因の微生物をエネルギー源として、同じ境遇にありながらエネルギーが食われていない遠方の星に原因を探しに行く、というシチュエーション。
到着したところで、同じ原因究明のために来た異星人の宇宙船と出会い、意気投合。
コミュニケーションを取るうちに、友情が芽生えるというもの。

異星人を描くのは全く難しいなあ、といつも思います。
本来であれば、重力も大気成分も違う境遇で、おそらくコミュニケーション手段も大きさも生活環境の感知能力も時間感覚も全く違っているもののはずですが、映画上では友情が芽生えるほどの親近感を覚えさせなければいけない。
今回の異星人はかなり地球人とは違う外観と能力のようですが、人間と同じようなサイズで、指があり、大気を振動させて声を発し、数字っぽいものも認識するというもので、どうかなと思うところもありますが、家庭に受け入れられるためにはギリギリなのかもしれません。おそらく「E.T.」を参照したんだろうと思います。
映画「ロッキー」へのオマージュもありますね。

Ryan Gosling のユーモラスな演技が秀逸で、映画の中核となっています。人類存亡の危機というシリアスな状況ですが、コメディ・タッチ SF とでも言えるくらいの軽妙なやり取りが魅力です。

「Hail Mary」とは「マリア様!」という祈りの言葉で、アメフトの一か八かの試合終了直前のロング・パスの時に神に祈る「ヘイル・メアリー・パス」から来ているそうです。

  • 監督:Phil Lord, Christopher Miller
  • 原作:Andy Weir
  • 脚本:Drew Goddard
  • 出演:Ryan Gosling, Sandra Hüller, James Ortiz

https://projecthm.movie


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Respect (2021)

Aretha Franklin の幼少期から "Amazing Grace" の録音(1972)までを描く、伝記映画です。

1972年は彼女が30歳の頃ですが、1967年からの6〜7年くらいが人気の絶頂期と言っていいでしょう。
70年代後半からはヒット曲が出なくなり(それでもいい曲といい歌はいっぱいありますが)、80年代後半に復活ヒットは出ますが、シンガーとしては少し翳りが見えていました。

秀逸、唯一無二のシンガーですが、人気の絶頂期とシンガーとしての素晴らしさは時期が重なります。
鞠のように弾んで、スイングとグルーヴを生み出すヴォーカルは、才能としか言いようがありません。
主演の Jennifer Hudson はよく引き受けたものだと思います。

Aretha 自身でこの映画の制作を企画していたようなので、少し本人に都合よい脚本になっているのはしょうがないでしょう。
彼女に批判的な語り口の同じタイトルの本と合わせてみて実像に迫れるかもしれません。

彼女がチャンスを掴んだのは、夫の Ted が Jerry Wexler のアトランティック・レコードと契約し、マッスル・ショールズ・スタジオで録音をするようになってから。
Aretha のブルーズ志向のアレンジ能力も開花し、大成功をもたらします。いい曲を選曲し、いいアレンジをし、素晴らしい歌声を聴かせる。
Jerry Wexler のアーティストを尊重するプロデュース方針、Aretha の能力、山師の夫のマネジメントがいい回転をしてたんでしょうね。
しかし、その成功の裏では、夫の暴力、父との諍い、Aretha の精神の弱さとアルコール依存が併存する、脆い成功体制だったことが窺えます。
うまくいっているときって、そういうものかもしれません。


  • 監督:Liesl Tommy
  • 脚本:Tracey Scott Wilson, Callie Khouri
  • 出演:Jennifer Hudson, Forest Whitaker, Marlon Wayans, Mary J. Blige

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2026年4月4日土曜日

ダーティハリー2 (1973)

Magnum Force

Clint Eastwood の出世作 "Dirty Harry" の続編で、サンフランシスコ市警察の "Harry" Callahan が活躍するアクション・ムービー。

"Dirty" とまでは言えないものの、アウトロー刑事 Harry を今作でも Eastwood が好演しています。

自衛ではあるものの、結果的には結構な人を殺してしまうところが、"Dirty" です。

上にはへつらわないが、同僚には優しいヒーローです。正義感があるのかどうかは分かりません。

映像的には綺麗で、70年代の映像技術の高さに驚きました。

一方で、そんなこと考えないやろ、とか、そういう行動しないやろ、というちょっとリアリティのなさは70年代シナリオなのかも。同じアパートの女性がすぐ Callahan と寝ちゃうところなんか、あり得ん上にそのエピソードが何の意味あるんやろ、と思いました。


  • 監督:Ted Post
  • 脚本:Harry Julian Fink, Rita M. Fink, John Milius
  • 出演:Clint Eastwood, Hal Holbrook, Mitchell Ryan


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2026年2月8日日曜日

沈黙の戦艦 (1992)

Under Siege

昔見た時は、圧倒的な主人公の強さに圧倒され、快感を覚えたくらいでした。
同じ感覚が今観てもあるのかなと思い、再びみてみました。
結局、Steven Seagal は途中の銃撃戦で肩の辺りを少し怪我したのと、最後の決闘で額に切り傷を得たのみでした。

ストーリーは90年代初期にありそうな、やりすぎやろ系で、戦闘機は撃ち落とすわ、核弾頭を強奪するわ、トマホークを発射するわで、もう無茶苦茶です。
そういう意味では、リアリティがないのが救いです。
"Dr. Strangelove" も狂気と核の主題でしたが、こっちの狂気はおかしすぎます。こんなことは起きないでしょう。

主人公の行動も凄すぎますが、都合よく色んな道具が使えるのも笑えるくらいです。
溶接機に溶接グラス、衛星受信機に通信機、爆発に使うオイル缶にタイマー爆弾、爆弾製造もこの短期間でやり遂げます。特殊部隊にいたからって、そりゃ無理でしょ、って感じです。
しかも、この戦闘の間に恋も芽生える。

その完璧さが魅力の映画なんでしょうね。

ちなみに「沈黙の」は映画と全く関係ありません。当時日本で流行っていた漫画「沈黙の艦隊」からとったそうです。
Under Siege は「包囲下」という意味です。絶体絶命の状況から1人で戦艦を奪還するストーリーには合ってます。「海のダイハード」は確かに、って思います。


  • 監督:Andrew Davis
  • 脚本:from J. F. Lawton's "Dreadnought"
  • 制作:Arnon Milchan, Steven Seagal, Steven Reuther
  • 出演:Steven Seagal, Tommy Lee Jones, Gary Busey, Erika Eleniak


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2026年1月25日日曜日

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 (1995)

最近SFものが続いていますが、今回は押井守の傑作と言われている「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊 」。
これだけ有名なのに、僕は一切触ったことがなく、何の前情報も無く観ました。

人間と一体化したサイボーグが普通の世界を舞台としたアクションアニメですね。

1988年の「AKIRA」や1982年の「ブレードランナー」、1984年の「ターミネータ」からの影響が感じられます。
サイバーパンクでかつ舞台が香港(っぽい所)。
大友克洋が「AKIRA」で越えようとしたアニメの限界は超えている様に思います。背景の緻密さはすごい。アニメーション自体はそれほどでもありませんが。
また、1999年の「マトリックス」は似たような世界観を持っていることから、この映画の影響が想像できます。

全く予備知識がなくて情けないのですが、原作があったんですね。
士郎正宗による全3巻の漫画で、1989年から1990年にヤングマガジン海賊版(そんなのあったんですね。いわゆる増刊号)に連載されたものです。今買おうとするとメチャ高い。
その1巻目のサブタイトルが「The Ghost in the Machine」で、この映画の原作になっています。
おもろそう。


  • 監督:押井守
  • 脚本:伊藤和典
  • 演出:西久保利彦
  • キャラクターデザイン:沖浦啓之
  • 作画監督:黄瀬和哉、沖浦啓之
  • 原作:士郎正宗


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