2021年11月10日水曜日

ノマドランド (2020)

Nomadland

車生活者というのでしょうか、家を持たず、キャンピングカー、バン、RV で移動しながら生活する人々。
その土地土地でその時期のアルバイトをして生活費を稼ぎ、車で寝泊まり、コインランドリーで洗濯する。
ちょっと想像できない生活ですが、この映画はその実像を実写しています。
主人公の Frances McDormand 以外の人は実際のノマドの人たち、実名で実生活なのが驚きです。
色々な理由で車生活をし、車生活のコミュニティまで形成されています。

普通の生活をしていたら、永遠のさよならはあるけど、ノマドの生活ではどこかでまた会える。
切り詰めた無駄のないエコな生活と助け合う人間関係、現代ならではの遊牧民生活がアメリカにはあるのです。


監督: Chloé Zhao
出演: Frances McDormand


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サマー・オブ・ソウル (2021)

Summer of Soul (...Or, When the Revolution Could Not Be Televised)

アメリカの黒人意識が高揚し、ロックが新しい展開を求めていた1969年。ニューヨークのマウント・モリス・パークに5万人を集めて「ハーレム・カルチャラル・フェスティバル」が開かれました。黒人のための黒人音楽の祭典。
当初テレビ放映を意図して映像が撮影されましたが、放映されないままフィルムはそのままに放置されていました。

監督は The Roots の Questlove。

音楽ライブ映像というよりは、コンサートをベースにしたドキュメンタリーです。
ケネディ、マルコムX、キング牧師の暗殺。二グロと呼ばれていた黒人が、自らのアイデンティとしてブラックを使い出した頃、巷ではアフロヘアやアフリカ衣装が流行っていました。
一方ポピュラー音楽シーンでは、モータウンが成功した後、黒人音楽はソウル前夜といった爆発寸前のエネルギーが溜まった時期だったように思います。
両者が合わさってコンサートは進んでいきますが、当時の映像だけでなく、当時を振り返る、主催者、参加者、出演者などの当事者の証言を織り交ぜているところがドキュメンタリーですね。Questlove は今も状況は同じだと言います。

それにしても、出演者が豪華ですし、ニューヨークならではの多様性が感じられます。
ゴスペル、ノーザンソウル、ブルーズ、サルサ、ジャズ、アフリカ、サイケデリック、ポップ、ロック...

中でも異彩を放っているのが、"Sly" です。白人が混じり、女性がトランペットを吹き、音楽はサイケでロック。色々な外見と関係なく俺は普通の人だと歌う。Nina Simone の歌う "To Be Young, Gifted and Black" が一方の極だとすると、Sly Stone の "Everyday People" は違う次元に飛んで行ってます。

彼らレジェンドの演奏シーンを見ることは稀なので、貴重でした。


出演

  • Stevie Wonder
  • B.B. King
  • The Fifth Dimension
  • Pops Staples and the Staple Singers
  • Mahalia Jackson
  • Herbie Mann
  • David Ruffin
  • Gladys Knight & the Pips
  • Sly & the Family Stone
  • Mongo Santamaría
  • Ray Barretto
  • Max Roach and Abbey Lincoln
  • Hugh Masekela
  • Nina Simone


監督:Ahmir "Questlove" Thompson
製作:Joseph Patel, Robert Fyvolent, David Dinerstein
撮影:Shawn Peters
編集:Joshua L. Pearson
音楽監修:Randall Poster


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2021年9月26日日曜日

はじまりのうた (2013)

Begin Again

タイトルどおり再生の物語です。

ハッピー・エンディングだし、ソングライターと音楽プロデューサーの関係が恋に発展しないのがいい。
友人 Steve との関係もそう。

物事を良くしていこうという努力や、思いではなく、人との出会いがきっかけなのも考えさせられます。
偶然の人との出会いが、人生を大きく回転させ、才能を開花させて行くんですね。

夫婦との関係、恋人との関係、仕事仲間との関係、娘との関係...

随所に出てくる音楽、この映画のキーですが、音楽の素晴らしさも表してます。


監督・脚本:John Carney
出演:Keira Knightley, Mark Ruffalo, Adam Levine


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2021年9月20日月曜日

県庁の星 (2006)

我が郷里香川県庁がロケ地とあって、興味惹かれ観てみました。結果、あまり共感できなかった...
小説、漫画を読んだことないので、映画だけの印象です。

基本コメディだと思うのですが、柴咲コウがちょっと重いのかな、結構シリアスな感じに仕上がっちゃってます。

お役所仕事と中小スーパーとの対比をデフォルメしてるのはいいんですが、正義感が正面に出てくるのがなんだかなあ、という感じです。お役所の仕事のやり方を強みに、業務を改革していくだけならいいのに。そこが残念。

細かいことまでダメ出しして周りから浮いていく姿は、ちょっとギクッとします。肩に力が入って、周りから浮いてるんじゃないかと、自分自身心配になります。仕事は人とするもの、ですよね。


  • 監督:西谷弘
  • 出演:織田裕二、柴咲コウ、佐々木蔵之介、石坂浩二


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2021年8月15日日曜日

Trouble with the Curve 人生の特等席 (2012)

Clint Eastwood、"Arrival" の Amy Adams、”Justified" の Justin Timberlake の3人が出演して、つまらないわけがありません。

良い短編小説を読み終えたときのような気持ちのよさがあります。
ストーリー自体は無理があったり、矛盾があったりと、細かいことを言えばおかしなところばかりなんですが、全体の雰囲気の前では、どうでもいいことのように思えます。

テーマは父親と娘。
よくありがちなようなすれ違い。
ただ、娘が父を求めているところが普通と違うところでしょうか。
頑固な年老いた父親は変われず、最後には娘はそれを「あるがまま」に受け入れることにより救われまます。

新しい人生のスタートのハッピーエンディングが清々しいです。

タイトルは、ベースボールプレーヤーがカーブを打てないこと。父親の職業、スカウトから来ています。"Gran Torino" で役者からの引退を表明した Eastwood を無理やり担ぎ出したのは正解です。ちょっと年取りすぎたかな。


監督・Robert Lorenz
脚本:Randy Brown
出演:Clint Eastwood, Amy Adams, Justin Timberlake


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2021年8月14日土曜日

Ex Machina (2014)

Ex Machina" というのはよく考えられたタイトルだと思います。
ラテン語で「機械仕掛けの」という意味ですが、英語的には「元機械」とも読み取れます。
本来の語源だと思われる "deus ex machina" は古代ギリシャの演劇の演出技法で、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥ったとき、絶対的な力を持つ存在(神)が現れ、混乱した状況に一石を投じて解決に導き、物語を収束させるという手法です。つまり最後には何とかうまくいくことを想起させます。
AI アンドロイドは、もちろん機械ですし、AI によって意思を持ったボディは元機械とも暗喩できます。そして、エンディングでは生み出した人間の想いのとおり...

ディープラーニングが注目され出したのが2012年。2000年代の前半には Google は WEB 検索の世界で圧倒的な存在になっていました。そういう時代背景の中だからこそ、検索と AI とアンドロイドを結びつけ、CG 技術を組み合わせた、時代に即した映画が作れたんでしょう。

作者であり監督の Alex Garland の好きな映画は「地獄の黙示録」だそうで、この映画のアンドロイド創作者 Nathan は現代のカーツ大佐のようにも見えました。

圧倒的大自然(ロケ地はノルウェーだそうです)と現代建築と現代家具の中で繰り広げられる、静かで異常な精神世界に引き込まれます。


監督・原作:Alex Garland
出演:Alicia Vikander, Domhnall Gleeson, Oscar Isaac


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2021年8月13日金曜日

42 〜世界を変えた男〜 (2013)

Jackie Robinson の戦後からメジャー・リーグ1年目までを描く映画で、主役は Jackie Robinson と、ブルックリン・ドジャーズの会長 Harrison Ford 演じる Branch Rickey です。

人種差別にもめげず、ベースボール・プレーヤーとして成功した、というのが Jackie Robinson の成し遂げたことですが、この映画では、専ら前者にスポットライトが当てられています。
トイレは区別され、ホテルからは宿泊を拒まれ、シャワーを一緒に浴びるのも気を使い、チームメイトに拒絶署名をされ、試合相手から出場すれば試合しないと脅され、球場ではブーイング。死球、ベースプレーの嫌がらせ、相手監督からのヤジ、同僚への脅しの手紙。
今では考えられない社会的イジメですね。アメリカの恥部と言ってもいいでしょう。

救いなのは、やはりスポーツが実力の世界だということですかね。実力ある者は認められる、活躍する者は称えられる。
そういう意味では、Jackie Robinson は才能に恵まれ、結果を残したからこそ「42」はメジャー・リーグで永久欠番になっているのだと思います。
ベースボール・プレーヤーはベースボールで結果を残すことが評価の全てですが、Jackie Robinson はそれに加えて、人格面も評価対象にされたのが大変だったでしょう。

政治家や経営者は人格が一番重要ですが、スポーツ、芸術、芸能、技術の世界は、その実力が一番重要で、結果が全てです。そこには人種の入り込む余地は無いし、人格もあまり必要とされません。
そういう意味で、今回のオリンピックの小山田圭吾の音楽が使われなくなった経緯は何とも気持ちのいいものではありませんでした。作り出した音楽で評価されるべきところを、人格批判の的となり、作った音楽まで追放されてしまった。もともとミュージシャンなんて人格破綻者ばかりの世界です。麻薬に溺れた人は数知れず、暴力、金銭トラブル、女性トラブルなど。小山田圭吾のやったことは一切認められませんが、彼の作る音楽は支持します。第一、オリンピック自体崇高な理念を掲げようとしていますが、結局国別対抗の政治・民族要素の強い、真の意味での実力主義ではない世界じゃないですか。

話がそれましたが、パイオニアに求められる実力以外の障壁は想像を絶することでしょう。女性管理職第一号なんてのも同じかもしれませんし、最初の LGBT カミングアウト者の入社なんてのも同じかもしれません。
何にせよ、「最初の」というのは大変なんです。

黒人を起用した Branch Rickey は、野茂を迎え入れた Peter O'Malley 氏にも重なります。西海岸のアジア・コミュニティの成長と日本企業の世界進出を見据えて日本人選手を獲得した手法は、ニューヨークの戦後の黒人コミュニティに眼をつけた Branch Rickey から学んだことに違いありません。

イチローの活躍が、ベースボールの面白さと Jackie Robinson を思い出させたことも思い起こされます。

監督・脚本:Brian Helgeland
出演:Chadwick Boseman, Harrison Ford, Nicole Beharie



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精武門 Fist of Fury ドラゴン怒りの鉄拳 (1972)

日本統治下の上海租界を背景に、日本人武道集団と、中国人武道集団との抗争を描いた、完全 Bruce Lee のためのカンフー映画。

精武門というのは、上海精武体育会をモデルにした精武館という武道館の武術およびその教えのことです。

武術集団間の抗争がメインテーマなので、前作と違い、見どころはカンフーシーンしかありません。
今回は初めて、ヌンチャクを使用しています。
Bruce Lee の身のこなし、フットワーク、力んだ決めポーズ、怪鳥音とも完璧です。
対する相手の武術のチンケさが何とも間抜けで、なんだろう、空手なのか、柔道なのか。最後には日本刀持ち出してくるし。

ストーリー的には、「仁義なき戦い」のようなものですが、徹底的に「日本人=悪」で描かれているのが切ない。1970年代の中国の精神世界は、香港と言えども大戦中の反日が底辺にあるんでしょうね。


監督:Lo Wei
製作:Raymond Chow



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2021年8月11日水曜日

唐山大兄 The Big Boss ドラゴン危機一発 (1971)

Bruce Lee の香港での出世作。

カンフー映画にしては、まともなストーリーですかね。
舞台はタイですが、言語は中国語。広東語か北京語かはあまりよく分かりません。
以後の映画にあるような、武道家の設定ではないので、アクションもカンフーというよりはケンカとして扱われています。

「唐山」というのは中国の東北部の地名で、出稼ぎに来ている中国人コミュニティの田舎です。なぜ香港近くではないのか、と思いますが、出稼ぎ=東北といった典型があるのかもしれません。その辺りはよく分かりません。
タイトルは仲間が全員殺される中で、最後まで一人で闘う唐山コミュニティの頼れるリーダーって感じでしょうか。
それにしても日本タイトルは酷すぎます。

氷からポロッと麻薬が出てきたり、人型に壁がぶち抜かれたりと、香港B級映画ぶりも魅力なのか。



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2021年7月23日金曜日

未来のミライ (2018)

ファンタジー、千と千尋やポニョ的な映画ですかね。

ストーリーは何とも共感できるようなものではなかったのですが、シチュエーションは共感できました。

今まで親の愛情を独り占めできていたのに、妹ができて戸惑うお兄ちゃん。初めは物珍しいけど、だんだん嫌いになっていく。
ビデオも自分が映りたい。相手にして欲しい。
いじけちゃうよね。
お兄ちゃんの自覚もないのに、お兄ちゃんでしょ、と怒られる。

母親も必死で余裕がなく、父親も何をしていいのか分からない。

みんな、失敗しながら、経験しながら親になり、兄になるのかなあ。

うまくいかなかったけど、今となっては幸せの記憶。


監督・脚本:細田守


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2021年6月19日土曜日

Annie (2014)

ミュージカルの古典の映画化で、映画化は3回目だそうです。
ミュージカルも前の映画も見たことがなかったので、新鮮に見れました。
だいたい、ミュージカル映画はあんま得意じゃないんですけどね。

貧しい境遇が富豪に出会うという、これまた繰り返し使い古されてきたテーマですが、主人公 Annie の明るさがさわやかで、それがこの映画の全てかもしれません。
分かりやすい悪役がいて、挫折があって、その中でもう一人の主人公は再生していく。
再生の物語でもあるんですね。

まあ、ハッピーではあります。

監督:Will Gluck
出演:Jamie Foxx, Quvenzhane Wallis, Rose Byrne, Cameron Diaz


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2021年5月16日日曜日

Minority Report (2002)

SF なんですが、シチュエーションを理解するのが大変でした。話の展開が速くて。
Spielberg はもっと分かりやすく作ってくれたらいいのに。

プリコグという特殊能力の予言者が、犯罪の予知をする世界。
予知は予防を可能とし、殺人犯罪はなくなってしまいます。素晴らしい。でも、予知が本当かどうかは、起こらないわけなので、わからないのですが。

3人の予言者による予言のうち、1人だけ違う予言があった場合、それは少数報告(マイノリティ・レポート)として、消去されるシステムとなっていることが、タイトルの元になっています。

原作の短編小説は面白いんだろうなぁ。


  • 監督: Steven Spielberg
  • 原作: Philip K. Dick
  • 出演: Tom Cruise, Colin Farrell, Samantha Morton


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Yesterday (2019)

ビートルズが消えてしまった世界で、ビートルズの曲をカバーして成功する男の物語。
CDも楽譜もないわけだから、記憶だけで勝負。
Ed Sheeran と作曲ゲームで勝ったり(当たり前か)、リリースする曲全てヒットしたり(これも当たり前か)。

最終的に人の曲を自分の曲だと偽っていることに耐えきれなくなり、真実を話す時が来て...

最後の、"Ob-La-Di, Ob-La-Da" が泣かせます。

それにしても、この映画は何が言いたかったのだろう?
The Beatles の曲にあやかって映画をヒットさせたかったのか、「もし」を思いついて映画にしたくなったのか。

  • Director: Danny Boyle
  • Cast: Himesh Patel, Lily James, Sophia Di Martino, Ed Sheeran


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2021年5月9日日曜日

Cast Away (2000)

太平洋の無人島へ漂流した物語だけに、ほとんど Tom Hanks 1人だけしか出てきません。
それではあまりにもセリフがなさすぎ、と思ったのか、漂流物のバレーボール "Wilson" というキャラクターを登場させて、主人公とコミカルな会話をさせています。

黒澤明の映画「生きる」では、生きる意味を問うていますが、ここではそれを超越しています。
"Keep Breathing" 生きること自体が大切ってことかな。
意味があろうとなかろうと。目的があろうとなかろうと。
大切な人のことを想って、とか関係なく。
どんなに絶望しようと。

主人公は4年のサバイバルの末に元の世界に戻るわけですが、本当にそんなことが可能なのか。魚とカニとヤシだけで生きられるのか。
疑問は湧きますが、まあそれは映画の世界ということで。

映画の初めはふくよかだった Tom Hanks が終わりにはかなり痩せた姿になっているところが見所です。

監督:Robert Zemeckis
出演:Tom Hanks


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2021年4月30日金曜日

重慶森林, ―恋する惑星/Chungking Express (1994)

いまや中国共産党政権の属国となってしまいつつある香港の、返還前の姿がここにあります。

なんだか昔のトレンディドラマを見ているような感じです。

2人の警察官のそれぞれの失恋を起点とした、2つのエピソードが描かれていて、短編集の趣があります。3つだと短編集というのがはっきりするのですが、なぜか2つ。どうもはじめはやっぱり3つのつもりだったのが、2つにしたとのこと。ちなみに3つ目のエピソードは「天使の涙」として公開されています。

全体的に、おしゃれとか、スタイリッシュとか、そういう評価が多いですが、正直そんな感じは受けませんでした。よくあるラブロマンス、青春群像劇、そんな風に受け取りました。

ただ、主人公たち、警官663(633っだった?)役の梁朝偉(Tony Leung)、店員役の王菲(Faye Wong)、刑事233役の金城武、らの二枚目ぶりがすごいので、スタイリッシュに感じるのでしょうか。

熱く、どろどろした恋愛模様ではなく、あくまでライトです。

監督:王家衛(Wong Kar Wai)
出演:梁朝偉(Tony Leung)、王菲(Faye Wong)、金城武


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2021年2月7日日曜日

天気の子 (2019)

新海誠監督の映像は、ここでもすごかった!
雨粒が水面にあたって跳ね返る描写、雪が落ちてくるときの遠近の落下差、都会と空の景色...
「君の名は。」のようなストーリーの驚きはありませんが、これらを見るだけでもこの映画を観る意味があります。

意味。
主人公の一人は言います。「君が生きる意味を与えてくれた」
もう一人の主人公は、短い人生の中で「人生の意味」を見つけます。
このシーンを観ながら僕ははっきりと人生の意味が分かりました。
佐野元春は歌います。「君と輝き、君と闇をくぐって小舟を漕ぎ出す」That' the meaning of life.

最後に主人公は、世界を変えたことを認識します。自分の世界、自分が認識する世界。
世界を変えることも人生の意味の一つですね。
これは、アニメとSFのの "Catcher in the Rye" かもしれません。


監督、脚本、原作:新海誠


2021年1月31日日曜日

My Fair Lady (1964)

僕の生まれる前やん。
あんな時代に、こんな映画を作れるアメリカは、確かにあこがれの対象だったんやろね。カラフルな映像にウィットの効いた会話、上流階級の暮らし(アメリカじゃなく英国が舞台ですが)。

ミュージカル、なんかハッピーな気分になります。ディズニーっぽい。
途中に小休止があるほど長いのですが、正直歌部分が長い。ミュージカルやからしょうがないんですが、しかしなんでアメリカ人はこんなにミュージカルが好きなんやろ。共感できんのですが、日本人も歌舞伎好きなんで、あいこですか。

男と女のものごとの捉え方の違いをコミカルに描いてますが、男と女以外にも、富裕と貧乏、自由と不自由なんかの対比がおもしろく表現されています。

ちなみに、ピグマリオン効果の例でこの映画が出てくるのですが、ほぼピグマリオン効果は出てこず、イライザのセリフのほんの一節だけでした。

I shall always be a common flower girl to Professor Higgins, because he always treats me like a common flower girl, and always will.

But I know that I shall always be a lady to Colonel Pickering, because he always treats me like a lady, and always will.


  • Directed by George Cukor
  • Cast: Audrey Hepburn, Rex Harrison, Stanley Holloway, Wilfrid Hyde-White


2021年1月30日土曜日

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン (2007)

リリー・フランキーと母親の思い出を綴った自伝エッセーの映画化です。

母親が死んだ後に本人が書いてますので、かなり主観が入っていると思いますが、本当だとしたら(本当でしょうが)、これこそ親孝行やなと思います。
ダメだと分かりながら親に甘えて生きている子供と、子供愛することに生きる母親。

母親が病気になったことを契機に、東京に呼び寄せて一緒に暮らします。これってなかなかできんけど、これだけで母親は幸せでしょうね。
親が元気なうちに親孝行せなな、と思います。

母親の思い出が、明るい人であるのも考えさせられます。あくまで主観でしょうが。でも、明るいことって大事やな、と改めて思います。
先日久しぶりに見た旧友の笑顔が印象に残ってるかもしれません。

映画的には、昭和の世界の再現が素晴らしいです。リリー・フランキーは1963年生まれなので、僕よりちょっと年上のほぼ同年代。昭和40年代~50年代の僕の記憶も、こんなくぐもった映像です。北九州の方が都会でしょうが、四国の田舎も逃げ出したくなるようなものでした。

監督:松岡錠司
脚本:松尾スズキ
出演:オダギリジョー、樹木希林、内田也哉子、小林薫、松たか子


2021年1月4日月曜日

Unforgiven (1992)

Clint Eastwood の評価を決定づけた西部劇、日本題は「許されざる者」。

生活の苦しさから賞金のために殺しをやる主人公と、町の治安維持のためには手段を選ばない保安官との対決を描いています。

主人公が正しいとも保安官が正しいとも言えない、なんだか不思議な後味の映画です。

昔の悪事から手を洗ってまっとうな生活をしているのに、金のために殺人を請け負うというのはどうなのか。娼婦の顔に傷をつけただけで殺されなければならないのか。犯人の行方を知るために仲間を拷問で殺してさらし首にするのはどうなのか。そもそも娼婦の顔に傷をつけるのは許されることなのか。

だいたい何のために対決するのか希薄な中での、人と人との対決が本当に気持ち悪い。

ただ、ハードボイルドであることは間違いありません。

Director: Clint Eastwood
Writer: David Webb Peoples
Stars: Clint Eastwood, Gene Hackman, Morgan Freeman