2021年8月13日金曜日

42 〜世界を変えた男〜 (2013)

Jackie Robinson の戦後からメジャー・リーグ1年目までを描く映画で、主役は Jackie Robinson と、ブルックリン・ドジャーズの会長 Harrison Ford 演じる Branch Rickey です。

人種差別にもめげず、ベースボール・プレーヤーとして成功した、というのが Jackie Robinson の成し遂げたことですが、この映画では、専ら前者にスポットライトが当てられています。
トイレは区別され、ホテルからは宿泊を拒まれ、シャワーを一緒に浴びるのも気を使い、チームメイトに拒絶署名をされ、試合相手から出場すれば試合しないと脅され、球場ではブーイング。死球、ベースプレーの嫌がらせ、相手監督からのヤジ、同僚への脅しの手紙。
今では考えられない社会的イジメですね。アメリカの恥部と言ってもいいでしょう。

救いなのは、やはりスポーツが実力の世界だということですかね。実力ある者は認められる、活躍する者は称えられる。
そういう意味では、Jackie Robinson は才能に恵まれ、結果を残したからこそ「42」はメジャー・リーグで永久欠番になっているのだと思います。
ベースボール・プレーヤーはベースボールで結果を残すことが評価の全てですが、Jackie Robinson はそれに加えて、人格面も評価対象にされたのが大変だったでしょう。

政治家や経営者は人格が一番重要ですが、スポーツ、芸術、芸能、技術の世界は、その実力が一番重要で、結果が全てです。そこには人種の入り込む余地は無いし、人格もあまり必要とされません。
そういう意味で、今回のオリンピックの小山田圭吾の音楽が使われなくなった経緯は何とも気持ちのいいものではありませんでした。作り出した音楽で評価されるべきところを、人格批判の的となり、作った音楽まで追放されてしまった。もともとミュージシャンなんて人格破綻者ばかりの世界です。麻薬に溺れた人は数知れず、暴力、金銭トラブル、女性トラブルなど。小山田圭吾のやったことは一切認められませんが、彼の作る音楽は支持します。第一、オリンピック自体崇高な理念を掲げようとしていますが、結局国別対抗の政治・民族要素の強い、真の意味での実力主義ではない世界じゃないですか。

話がそれましたが、パイオニアに求められる実力以外の障壁は想像を絶することでしょう。女性管理職第一号なんてのも同じかもしれませんし、最初の LGBT カミングアウト者の入社なんてのも同じかもしれません。
何にせよ、「最初の」というのは大変なんです。

黒人を起用した Branch Rickey は、野茂を迎え入れた Peter O'Malley 氏にも重なります。西海岸のアジア・コミュニティの成長と日本企業の世界進出を見据えて日本人選手を獲得した手法は、ニューヨークの戦後の黒人コミュニティに眼をつけた Branch Rickey から学んだことに違いありません。

イチローの活躍が、ベースボールの面白さと Jackie Robinson を思い出させたことも思い起こされます。

監督・脚本:Brian Helgeland
出演:Chadwick Boseman, Harrison Ford, Nicole Beharie


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