2020年7月22日水曜日

空母いぶき (2019)

沈黙の艦隊は画期的で面白かったですよね。
まあ、その路線といえばその路線。
漫画では中国軍との戦闘のようですが、さすがにそれでは防衛省の協力を得られなかったのか、架空の新興国が相手となっています。その分ちょっとリアリティが薄れ、フィクション度が上がっています。

テーマは「戦争」を避けるための「戦闘」です。自衛隊という特殊な軍隊を持つ日本のギリギリの努力のシミュレーションでしょうか。
そこには最前線の自衛隊員の判断の1つ1つが重要な意味を持ちます。大変な仕事やなと改めて思います。こんなのは普段、日頃から考えて、体に染み込ませてないと判断を誤るでしょうから。

主人公のいぶき艦長秋津は、いつも余裕の笑みをたたえながら的確な判断をしていくスーパーマンです。マスコミも利用した社会を巻き込んだ動きも見せ、戦略眼、理念、判断、理解、先を読む力に長け、結局映画の中ではフォルトはありませんでした。
そういう意味では人間味がなく、正直共感できるキャラではありません。悩みがないんですね。
主人公以外の人間は、悩み、迷い、その時々の事件に一喜一憂します。まあ、その対比が楽しみどころなのかもしれません。

我々は戦争を放棄します、と宣言しても、周りが戦争を仕掛けてきたら国を守るために戦争をするしかありません。安全運転してても事故に遭うのと同じです。
コスモポリタン的な平和を憧れますが、一方で民族的独立・文化の維持、経済的意図、地域解決主義、イデオロギー対立など、分派的な動きも否定できるものではありません。その危ういバランスの中に社会がある以上、最終的な暴力手段を持っておかなければならないんでしょうね。警察のように。
それと、みんなで安全運転しましょう、と啓蒙していくことでしょうか。民主国家でない場合、国体を維持するためにどうしても軍隊を必要としますので、民主化を求めていくこととイコールなのかもしれませんが。なかなか難しいところです。

原作:かわぐちかいじ
企画:福井晴敏
監督:若松節朗
脚本:伊藤和典 長谷川康夫
キャスト:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、佐藤浩市、中井貴一、片桐仁、斉藤由貴、市原隼人

公式サイト→ https://kuboibuki.jp

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