2018年5月13日日曜日

メッセージ ―Arrival― (2016)

見終わった後、涙が出てきました。
静かな空気と荘厳なサウンド、一貫した陰鬱な暗い画面。決してハッピーな映画ではありませんが、心の奥深くに問いかけてくる映画です。

日本語タイトルは「メッセージ」、原作は Ted Chiang の短編小説 "Story of Your Life"。そう、これは僕たちの物語なんです。

SFの形を取っていますが、Ted Chiang にとって、これは異生物とのコンタクトの物語であっても何でも良かったのだと思います。言語を通じて時間を自由に解釈できるようになる能力を人類に身につけてもらうこと、それがエイリアンの目的で、言語学者である主人公はエイリアンとの対話の中でその力に目覚めていきます。

UFOの出現と娘の死という個人的な話が交錯して進み、最後に思いもよらない形でその2つが結びつきます。

そしてエンドの主人公の決断。人生は幸せなことだけではなく、死や別れをはじめとして苦しく辛いことに溢れています。それでも私たちはそれを受け入れ、向き合っていくのだということを強く感じました。

SFとしては、まさに「未知との遭遇」ですし、「エイリアン」「宇宙戦争」にも似たところがありますが、エイリアン「ペプタ・ポッド(7本足)」の描き方からして秀逸だと思いました。監督の Denis Villeneuve の力ですかね。それと Jóhann Jóhannsson のサウンドです。過去のエンカウンター系の映画はすべてチンケに思えます。

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2018年4月22日日曜日

The Martian ―オデッセイ― (2015)

"Martian" とは「火星人」。映画の内容は、"Life On Mars"。
日本語タイトルの「オデッセイ」 とは「長期の放浪」、「長い冒険」。

事故により死亡したとして火星に一人取り残された主人公の生存への努力と、地球やクルーの人々の奮闘を描いた物語です。30日ほどのミッション分の機材と食糧の中で、次に火星に探査船が来るのは4年後の予定。こんな絶望的な状況の中で、死を待つだけでなく、生きていこうとする意志と、それが結果につながるという超ポジティブ映画です。もちろん、途中でも終盤でも絶望的な状況になり、そのたびに克服していきます。

科学の力、というのもテーマですが、宇宙戦艦ヤマト的な夢物語的なフィクションというわけではないので、ところどころ「おかしいやろ」「それはどうするつもり」、という突っ込みどころ満載ですが、ストーリーを重視して、そこは甘んじて受け入れなければなりません。

おもしろいのは、サウンドトラックです。船長の趣味の70年代ディスコサウンドが最初はフィーチャされて、おかしなテイストを出しているなと思ったら、けっこう歌の内容とストーリーがシンクロしてるんですね。

Turn the Beat Around – Vickie Sue Robinson
Hot Stuff – Donna Summer
Rock the Boat – Hues Corporation
Don’t Leave Me This Way – Thelma Houston
Starman – David Bowie
Waterloo - Abba
Love Train – The O’Jays
I Will Survive – Gloria Gaynor

2018年3月18日日曜日

EDEN (2014)

EDMやハウスというのは元来好きではないのですが、その中の1ジャンル「ガラージ」に魅せられたDJの10数年間の人生をたどる映画です。

監督の Mia Hansen-Løve の兄、Sven Hansen-Løve の実話のようで、シナリオも二人で書いています。
DJとしての成功、ドラッグ、恋人、借金、友の死、そして第2部では、ついに追い求めてきた音が時代遅れになっていきます。現代のグレート・ギャツビーかブライト・ライツ・ビッグ・シティか。

フランスのその世界での英雄 Daft Punk が所々でフィーチャされているのが興味深いところです。ただ、それだけ、あるいはEDMハウスが多量に流れることが特徴の映画ともいえます。

なんだか心苦しい、晴れ晴れとしない映画でした。

2018年3月17日土曜日

Black Hawk Down (2001)

これは戦争映画というより、戦闘映画とでもいうべき、映画のほぼ全編が戦闘シーンに使われています。

30分で撤収するはずだった作戦は、複数のアクシデントで泥沼化していきます。
レンジャー部隊の新兵がヘリから降下中に落下、救出の車両部隊が捕虜と新兵を基地に連れて帰る途中、市街地での銃撃戦のうえ死者を出してしまいます。
次いで、ブラックホーク・ヘリが相手のRPG弾に被弾し墜落。作戦はヘリ救出に集中していき、当初の想定と全く違う方向へ。
もげる指、下半身を爆撃で失うシーン...戦闘はすべからく悲惨です。

リスク管理、組織論、リーダーシップという意味で考えさせられます。
30分で終わる戦闘に油断した兵士と準備を怠らなかった兵士。安全の確保を優先する部隊に勇敢にも救出を優先する兵士。
不測の事態やアクシデントに自律的に動く組織と動かすリーダー。天変地異が起こったときにも似ていますが、一刻一秒ごとに戦況が変わり、判断が生死にかかわるというところが若干の違いかも。

過去の戦争映画のように、徴兵者の葛藤からみた戦争ではなく、これは職業軍人の戦争という意味で、よりハードです。

2018年3月11日日曜日

人魚姫 ―美人魚― (2016)

中国語では「美人魚」。

周星馳(チャウ・シンチー)は、「少林サッカー」「カンフー・ハッスル」しか知りませんが、いずれも大好きな映画です。

人間の開発主義、中国の拝金主義を鋭くえぐり、今の時代を映しています。環境破壊や、異民族への迫害といった主題は、香港版アバターといったところでしょうか。
ピュアな心を持った人魚の可憐な少女対バブリーな全てを兼ね備えた女性の闘いも見どころです。

意外な展開と意外な最後ですが、いつものようにハッピーエンディングで、少し幸せな気持ちになります。
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2018年2月18日日曜日

The Beatles EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years (2016)

ビートルズの活動を、「ライブツアー」に焦点を当てたドキュメンタリー。

63年のイギリスでの成功の後、64年のアメリカツアーを経て、ビートルズは「現象」になります。
やがて十分なPAシステムのない中、観衆を納めるためスタジアムツアーという形式に。驚くことに、演奏者が演奏の音が聞こえないため、リンゴ・スターは、ジョンやポールの頭や腰の動きを見てリズムを取っていたと言います。
誰も自分たちの音楽を聴いていない状況に嫌気がさし、66年を最後にツアーに出るのをやめます。リバプール、ハンブルクを経て、ライブの実力はすごいものがあったでしょうに。

しかし、それが彼らをスタジオに専念させ、"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" のような傑作に結実していくですから、分からないものです。

そして、最後のルーフトップ。なんとも楽しそうに演奏しているのは、やはりライブが好きだったんだなあ、と感じさせられました。

普通の若者が、上に上にと成功を夢見て、成功をつかみ、そして自分たちが作った「現象」にうんざりしながらも、成長していく姿には心動かされます。

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2018年2月11日日曜日

君の名は。(2016)

言わずと知れた、新海誠監督のおととしの大ヒット映画。

「転校生」で古典的な、入れ替わりのリメイク、かと思いきや、中盤からの彗星衝突で一気にストーリーが展開します。
時間を遡り、村の運命を変える役割に気づく主人公。

日本の田舎や伝統へのリスペクトと、美しいバックの風景が特徴となっていますが、その世界観が多くの人を魅了しているところかもしれません。
青い空と白い雲、都会の風景。
自販機の缶の落ち方や、鉛筆で線を描くときのリアルさが、アニメもここまで来たか、と思わせました。