2026年7月5日日曜日

Respect (2021)

Aretha Franklin の幼少期から "Amazing Grace" の録音(1972)までを描く、伝記映画です。

1972年は彼女が30歳の頃ですが、1967年からの6〜7年くらいが人気の絶頂期と言っていいでしょう。
70年代後半からはヒット曲が出なくなり(それでもいい曲といい歌はいっぱいありますが)、80年代後半に復活ヒットは出ますが、シンガーとしては少し翳りが見えていました。

秀逸、唯一無二のシンガーですが、人気の絶頂期とシンガーとしての素晴らしさは時期が重なります。
鞠のように弾んで、スイングとグルーヴを生み出すヴォーカルは、才能としか言いようがありません。
主演の Jennifer Hudson はよく引き受けたものだと思います。

Aretha 自身でこの映画の制作を企画していたようなので、少し本人に都合よい脚本になっているのはしょうがないでしょう。
彼女に批判的な語り口の同じタイトルの本と合わせてみて実像に迫れるかもしれません。

彼女がチャンスを掴んだのは、夫の Ted が Jerry Wexler のアトランティック・レコードと契約し、マッスル・ショールズ・スタジオで録音をするようになってから。
Aretha のブルーズ志向のアレンジ能力も開花し、大成功をもたらします。いい曲を選曲し、いいアレンジをし、素晴らしい歌声を聴かせる。
Jerry Wexler のアーティストを尊重するプロデュース方針、Aretha の能力、山師の夫のマネジメントがいい回転をしてたんでしょうね。
しかし、その成功の裏では、夫の暴力、父との諍い、Aretha の精神の弱さとアルコール依存が併存する、脆い成功体制だったことが窺えます。
うまくいっているときって、そういうものかもしれません。


  • 監督:Liesl Tommy
  • 脚本:Tracey Scott Wilson, Callie Khouri
  • 出演:Jennifer Hudson, Forest Whitaker, Marlon Wayans, Mary J. Blige

Apple TVで入手