2026年7月5日日曜日

Project Hail Mary (2026)

人間と異星人がそれぞれの惑星を救うというちょっと奇想天外なSFです。というか、SFは元々奇想天外ですが。

原作は「オデッセイ(火星の人)」の Andy Weir。
「火星の人」は確か、火星に一人取り残される話だったと思いますが、今回も一人取り残されるという、同じパターンのものです。ただ、今回は一人ではなく、異星人との交流という点で少し進化しています。
ハードなSFというよりは、SFを舞台としたヒューマンドラマですかね。そういった要素が映画には必要でしょう。

太陽のエネルギーが弱くなっている原因の微生物をエネルギー源として、同じ境遇にありながらエネルギーが食われていない遠方の星に原因を探しに行く、というシチュエーション。
到着したところで、同じ原因究明のために来た異星人の宇宙船と出会い、意気投合。
コミュニケーションを取るうちに、友情が芽生えるというもの。

異星人を描くのは全く難しいなあ、といつも思います。
本来であれば、重力も大気成分も違う境遇で、おそらくコミュニケーション手段も大きさも生活環境の感知能力も時間感覚も全く違っているもののはずですが、映画上では友情が芽生えるほどの親近感を覚えさせなければいけない。
今回の異星人はかなり地球人とは違う外観と能力のようですが、人間と同じようなサイズで、指があり、大気を振動させて声を発し、数字っぽいものも認識するというもので、どうかなと思うところもありますが、家庭に受け入れられるためにはギリギリなのかもしれません。おそらく「E.T.」を参照したんだろうと思います。
映画「ロッキー」へのオマージュもありますね。

Ryan Gosling のユーモラスな演技が秀逸で、映画の中核となっています。人類存亡の危機というシリアスな状況ですが、コメディ・タッチ SF とでも言えるくらいの軽妙なやり取りが魅力です。

「Hail Mary」とは「マリア様!」という祈りの言葉で、アメフトの一か八かの試合終了直前のロング・パスの時に神に祈る「ヘイル・メアリー・パス」から来ているそうです。

  • 監督:Phil Lord, Christopher Miller
  • 原作:Andy Weir
  • 脚本:Drew Goddard
  • 出演:Ryan Gosling, Sandra Hüller, James Ortiz

https://projecthm.movie


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Respect (2021)

Aretha Franklin の幼少期から "Amazing Grace" の録音(1972)までを描く、伝記映画です。

1972年は彼女が30歳の頃ですが、1967年からの6〜7年くらいが人気の絶頂期と言っていいでしょう。
70年代後半からはヒット曲が出なくなり(それでもいい曲といい歌はいっぱいありますが)、80年代後半に復活ヒットは出ますが、シンガーとしては少し翳りが見えていました。

秀逸、唯一無二のシンガーですが、人気の絶頂期とシンガーとしての素晴らしさは時期が重なります。
鞠のように弾んで、スイングとグルーヴを生み出すヴォーカルは、才能としか言いようがありません。
主演の Jennifer Hudson はよく引き受けたものだと思います。

Aretha 自身でこの映画の制作を企画していたようなので、少し本人に都合よい脚本になっているのはしょうがないでしょう。
彼女に批判的な語り口の同じタイトルの本と合わせてみて実像に迫れるかもしれません。

彼女がチャンスを掴んだのは、夫の Ted が Jerry Wexler のアトランティック・レコードと契約し、マッスル・ショールズ・スタジオで録音をするようになってから。
Aretha のブルーズ志向のアレンジ能力も開花し、大成功をもたらします。いい曲を選曲し、いいアレンジをし、素晴らしい歌声を聴かせる。
Jerry Wexler のアーティストを尊重するプロデュース方針、Aretha の能力、山師の夫のマネジメントがいい回転をしてたんでしょうね。
しかし、その成功の裏では、夫の暴力、父との諍い、Aretha の精神の弱さとアルコール依存が併存する、脆い成功体制だったことが窺えます。
うまくいっているときって、そういうものかもしれません。


  • 監督:Liesl Tommy
  • 脚本:Tracey Scott Wilson, Callie Khouri
  • 出演:Jennifer Hudson, Forest Whitaker, Marlon Wayans, Mary J. Blige

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