2024年3月20日水曜日

メメント (2000)

Christopher Nolan がアカデミー賞を受賞したのを記念して観てみました。
Nolan 監督の映画は以前『インターステラー』と『インセプション』を観たことがあるのですが、どちらも全く違う印象を受けました。
特に『インセプション』は展開が難解で、ヘンテコな映画だな、と思ったのを覚えています。

『メメント』はそれにつながるヘンテコな映画です。
ただし、SF的な要素は全くなく、現実世界での記憶障害という特異な状況を独特の手法で描いています。

原作は弟の Jonathan Nolan。
殺された妻の復讐劇ですが、ショックから記憶が10分しかない(ただし、以前の記憶はある)ために、行動に一貫性がなく、前後のつながりがありません。
はっと気づいたら、全く覚えのない場所、そこから毎回再開しないといけないというのはちょっと想像できませんが、認知症とかになるとこうなるのかなと思うと、身近に感じたりします。
そこに登場するサイドメンたち。麻薬売買と殺人の思惑が絡み合っていきます。
どの記憶のメモが正しくて、誰が嘘を言っているのか?
途中で挟み込まれるサミーの逸話が、実は主人公の記憶の取り違いであることが明らかにされますが、10分間の記憶の不確かさのみならず、確固とした過去の記憶の不確かさも問いかけられます。

物語の特異性を高めているのが、時間の流れです。
映画は最初の殺人から過去にさかのぼって記憶をたどるような流れになっています。
主人公の記憶はありませんが、見る人はその過去への流れを追体験するような形になっています。

映画の評判は口コミで拡がり、結果 Nolan 監督の出世作になりました。
ちなみにタイトルの「メメント」は「memento mori」つまり「常に死を意識せよ」のこと。
10分間の記憶が「今を楽しめ」ということなのか、劇中の多くの人の死のことなのか。深い意味は考えなくともミステリーとして秀逸な映画です。


  • Director : Christopher Nolan
  • Writers : Christopher Nolan, Jonathan Nolan
  • Cast : Guy Pearce, Carrie-Anne Moss, Joe Pantoliano, Jorja Fox, Stephen Tobolowsky
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