Spike Lee 真骨頂、黒人人権ものです。 重いテーマですが、適度なユーモアと適度な反骨精神をおりまぜ、さすがの出来です。
プロデューサーの Shaun Redick が Ron Stallworth の原作の映画権を買い取り、Spike Lee を監督に選んだという経緯ですので、Spike Lee が初めから撮りたかった映画という訳ではありません。 しかし、以前からの Spike Lee の映画を見てきた者として、プロデューサーはやはり Spike Lee がピッタリと思ったんでしょう。
Spike Lee は、いい映画を撮るプロの映画監督として、いい仕事をしてます。 最近 "Inside Man"、"Chi-Raq"、"Pass over"、"American Utopia" と立て続けに Spike Lee の映画を観ましたが、映像作家としての腕前にホント感心してます。意外とオーソドックスなんですね。さりげなくスタイリッシュ。
黒人とユダヤ人の警官が、KKKに潜入捜査するという、あり得ない設定の(しかし多分実話の)ストーリー。 黒人主義者の集会に潜入捜査を命じられた黒人主人公 Ron は、逆に白人至上主義者の組織への潜入捜査を試みます。そこで登場するのがユダヤ人の相棒 Flip。電話の会話は Ron が、実際に組織の人と会うのは Flip、という役割分担です。 KKKというのは反黒人であると同時に反ユダヤでもある訳で、どっちにしてもリスクだらけの捜査なんですね。そこにスリルが発生します。
当初 Ron Howard が監督候補だったということですが、彼が監督しててもそれはそれでいいエンターテインメントになっていたでしょう。 結局、主人公の市警フレージャーは、昇進と強盗から「贈られた」ダイヤを手にしてハッピーエンディング。このあたりの演出は Spike Lee 監督らしさ、ということかもしれません。
音楽は、Spike Lee の盟友 Terence Blanchard。いい感じです。
監督:Spike Lee
脚本:Russell Gewirtz
出演:Denzel Washington (as Detective Keith Frazier), Clive Owen (as Bank robber Dalton Russell), Jodie Foster (as high-power broker Madeline White), Christopher Plummer (as The bank president Arthur Case), Willem Dafoe (as Police captain John Darius), Chiwetel Ejiofo (as as Detective Bill Mitchell)