2023年2月13日月曜日

サタデー・ナイト・フィーバー (1977)

僕はこういう青春を過ごしていませんが、青春の閉塞感をうまく表していると思います。

小さい時にテレビ映画で見た時は、ディスコやケンカ、セックスといった描写についていけなかった覚えがあります。
それでも社会現象になりましたからね。

舞台はブルックリンですが、愛2の舞台はマンハッタンでしょう。
ほとんど出てきませんが。間をつなぐブルックリン・ブリッジが効果的な使われ方をしています。

ペンキ屋で働くイタリヤ系のトニーは、将来のことを考えられないまま、土曜の夜のディスコで踊ることが生きがい。踊ることがうまいトニーはディスコではキング扱い。
ダンスコンテストのパートナーに選んだマンハッタンで働くステファニーに影響されて、少しずつ将来のことを考えるようになります。

John Travolta の出世作ですが、彼の踊りが素晴らしい。ピンと張った背筋と重心の低さが美しい。Bee Gees の曲と Travolta のダンスだけでも名作です。


  • 監督:John Badham
  • 脚本:Norman Wexler
  • 原作:Nik Cohn
  • 出演:John Travolta、Karen Lynn Gorney

Watch on Apple TV

2023年1月28日土曜日

マネー・ショート 華麗なる大逆転 (2015)

The Big Short

The Plan B Entertainment は Brad Pitt のプロダクション。本人も出てます。
Brad Pitt で印象深いのは「マネー・ボール」ですが、本作は「マネー・ボール」の原作者 Michael Lewis が書いた「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」"The Big Short : Inside the Doomsday Machine" の映画化になります。原題は "The Big Short" ですが、多分「マネー・ボール」にかけて「マネー・ショート」にしたんでしょうね。

”Short" は空売りのこと。債権が下がり局面の時に、買って売るのではなく、売って買う手法です。

サブプライムローン危機の時に、危機を先んじて見抜き、空売りで莫大に儲けた人たちの話です。Scion Capital、FrontPoint Partners、Brownfield Capital という3組のファンドとそのマネージャが主人公ですが、いずれも接点はありません。

MBS、CDO、CDS といった専門用語が飛び交い、3組の群像劇であることも絡まって、ストーリーを理解するのが難しい映画でした。原作は量に限度がないのでもっと分かりやすいのではないかと想像しますが、2時間の映像にまとめるというのは難度が高かったんじゃないでしょうか。
分かりやすくする工夫として、時折解説が挟まっています。女優 Margot Robbie、料理人 Tony Bourdain、歌手 Selena Gomez となんとノーベル賞受賞の行動経済学者 Richard Thaler 教授まで出演して難しい話を優しく解説してくれてます。出演者の一人 Ryan Gosling の積み木の例えを入れたのもだいぶ工夫したんでしょうね。
1回見ただけじゃ理解できなくて、間に WEB の解説見て、もう1回見てなんとなく理解できるようになりました。
それでも、Sion Capital の Michael Burry (Christian Bale) が開発した金融商品 CDS (Credit Default Swap) がなんなのかよく分かってません。

最後は「儲かって良かったね」じゃなくて、多くの人に不幸をもたらした金融業界への問題提起、という色彩になってます。


  • 監督:Adam McKay
  • 脚本:Charles Randolph、Adam McKay
  • 原作:Michael Lewis
  • 出演:Christian Bale、Steve Carell、Ryan Gosling

Watch on Apple TV

2022年11月24日木曜日

ドライブ・マイ・カー (2021)

村上春樹の短編小説の映画化だけあって、村上ワールドをよく表現できていると思います。
静かな降り積もるような悲しみ、生きていくことの辛さ、感情の抑揚の少なさ、それでいてスタイリッシュ。

村上春樹の短編集『女のいない男たち』に所収された「ドライブ・マイ・カー」をベースに、「シェエラザード」「木野」の一部をモチーフにして物語を膨らませています。
また、劇中で実際に演じられるチェーホフの『ワーニャ伯父さん』も重要なパートを構成しています。

同じような悲しみを背負った親子ほど年の離れた2人の人間の車を介した交わり。
人は究極的には分かり合えない。
取り返しのつかない後悔、それでも人は生きていかなくちゃならない。
それが人生だから。

愛する、ということと分かり合える、というのは同意義なのだろうか?
愛する人が別の人を求めることに、なぜ心が苦しくなるのだろうか?
求めすぎることから解脱せよ、と釈迦が解いたように、何千年の昔から人間はこうなのだ。
あるがままを受け入れて生きていく、妻の浮気相手の若い男になぜかある夜説諭される。

当初釜山が舞台だった映画は、コロナで舞台を広島に移して撮影されます。あえて言うなら、瀬戸内の美しさをもっと表現して欲しかった。


  • 監督:濱口竜介
  • 出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか



Watch on Apple TV

2022年10月10日月曜日

BlacKkKlansman (2018)

Spike Lee 真骨頂、黒人人権ものです。
重いテーマですが、適度なユーモアと適度な反骨精神をおりまぜ、さすがの出来です。

プロデューサーの Shaun Redick が Ron Stallworth の原作の映画権を買い取り、Spike Lee を監督に選んだという経緯ですので、Spike Lee が初めから撮りたかった映画という訳ではありません。
しかし、以前からの Spike Lee の映画を見てきた者として、プロデューサーはやはり Spike Lee がピッタリと思ったんでしょう。

Spike Lee は、いい映画を撮るプロの映画監督として、いい仕事をしてます。
最近 "Inside Man"、"Chi-Raq"、"Pass over"、"American Utopia" と立て続けに Spike Lee の映画を観ましたが、映像作家としての腕前にホント感心してます。意外とオーソドックスなんですね。さりげなくスタイリッシュ。

黒人とユダヤ人の警官が、KKKに潜入捜査するという、あり得ない設定の(しかし多分実話の)ストーリー。
黒人主義者の集会に潜入捜査を命じられた黒人主人公 Ron は、逆に白人至上主義者の組織への潜入捜査を試みます。そこで登場するのがユダヤ人の相棒 Flip。電話の会話は Ron が、実際に組織の人と会うのは Flip、という役割分担です。
KKKというのは反黒人であると同時に反ユダヤでもある訳で、どっちにしてもリスクだらけの捜査なんですね。そこにスリルが発生します。

警察内部は人種を超えて協力し合いますが、中には人種差別者もいます。
コロラドがどういう土地柄か分かりませんが、警察はアメリカ社会の縮図なんでしょうね。

KKK の仲間内では嘘だろ、というような人種差別発言の連続ですが、そこは極端な思想の持ち主たち。一方で黒人主義者の集会では革命を叫び、過去の黒人少年リンチを語る。
憎悪が憎悪を増長しているアメリカ社会の深刻さが分かります。
舞台は1970年代ですが、巻末に出てくる映像は2017年の白人至上主義者の集会の模様です。
Donald Trump も映像に登場しますが、彼と彼の取り巻きが推進した「分断」は、過去のぶり返しに他ありません。
この映画は当時の政権と社会風潮に対する痛烈な批評でもあるわけです。

映画の最後では、恒例のスライド・カメラが発動され、「おっやっぱ出た」と思いましたね。

  • 監督:Spike Lee
  • 脚本:Charlie Wachtel, David Rabinowitz, Kevin Willmott
  • 出演:John David Washington, Adam Driver, Laura Harrier 


Watch on Apple TV

2022年9月19日月曜日

竜とそばかすの姫 (2021)

細田守の世界×ディズニーです。白雪姫、美女と野獣、ラプンツェル。

それに、高校生、インターネット、日本の田舎、家族と今までの細田監督の映画のモチーフが混ざり合った、いわば集大成的な映画になっています。

閉ざされた心の解放、再生のための違う世界の必要性、匿名性の欺瞞、振りかざす正義、人を救うということ、傷ついた心と反発、恋と精神的つながり、人は人から助けられながら生きているということ、見守る力。
複雑なテーマが絡まり、一筋縄では理解できない映画でした。
その分深みがあり、余韻が複雑です。
いろんなテーマを詰め込みすぎたのか、狙って複雑さを出したのか。
多分ハリウッドでは、ストーリーをもっと単純化し、テーマを絞られていたことでしょう。

終盤に主人公が素顔で歌い出すところはグッときました。
個人的には、父親と娘の心のすれ違いが一番気になりましたが。

テーマ、ストーリーとは別に、背景描写の素晴らしさが際立つのも最近のアニメの特徴でしょうか。
高知の風景が美しく映画に溶け込んでいます。
ほんの数秒の描写のために、こんなに丁寧な絵を描くなんて!

それに、これはアニメでしか表現できない世界だというのも素晴らしいなと思います。


  • 監督:細田守
  • 出演:中村佳穂、成田凌、染谷将太


https://ryu-to-sobakasu-no-hime.jp


Get it on Apple TV

2022年6月24日金曜日

Rain Man (1988)

久々に見ました。サヴァン症候群の兄と、20年ぶりくらいに再会した弟のふれあいの7日間を描いた映画です。

なにせ Dustin Hoffman の演技がすごい!この映画の成功は Dustin Hoffman の演技の出来でしょう。

 Dustin Hoffman 演じる兄のレイモンドは文字や数字を覚える、計算することにかけては天才的ですが、日常常識には興味がなく、同じ数字でも日用品の値段は分からない。人とのコミュニケーションは苦手で、ほとんど会話が成り立たない。
こちら側が言っていることにちゃんと反応してくれないところなんかは、うちの犬を思い出しました。
言うことを聞かせようと思っても、もちろん思った通りに動きませんし、こうして欲しいと思ってもまったく関係ありませんしね。

一方で弟の Tom Cruise 演じるチャーリーは、人を利用する、人を自分の思った通りに動かしたいタイプ。
まったく兄との対比が効いてます。
ずっと見ているとチャーリーの方が異常に思えてきます。正直やなやつです。

ほとほと兄に手を焼いていたチャーリーですが、カジノで兄の才能を「利用」して一儲けしたことをきっかけに、兄との距離を縮めていき、徐々に兄の、思う通りにならない行動を受け入れていくようになります。

そういう意味ではこれはチャーリーの再生の物語なんですね。兄は何も変わってませんから。

人を利用しようとしてないか、思い通りに動かそうとしていないか、自省させられる内容でした。


  • 監督:Barry Levinson
  • 原作:Barry Morrow
  • 脚本:Ron Bass
  • 出演:Dustin Hoffman, Tom Cruise, Valeria Golino


2022年6月16日木曜日

ペリカン文書 The Pelican Brief (1993)

Julia Roberts 見るといつも思います、「イチローに似とるな」って。この頃は特に。
"Pretty Woman" が1990年やから、この映画の頃は人気絶頂期だったでしょうね。
演技もすばらしい!
Denzel Washington もこの頃一番売れてましたかねぇ。

この二人のための映画、みたいな感じですが、ストーリーはこの時代にありがちな、大統領が絡む陰謀ミステリーです。Forsyth 的な。

新しく彫られた油田の油の輸送のための開発が、ペリカンの生息地を破壊することから、裁判沙汰になり、環境保護派の最高裁判事が暗殺された、という主人公が書いた推測が「ペリカン文書」です。
これにかかわった人がたくさん殺され、主人公もつけ狙われます。
何度も死の直前まで追い詰められながらも、徐々に説の証拠に近づいていく主人公たち。

ハラハラはさせられますが、人に裏切られるシーンがほとんどないところがいいですね。

  • 監督・脚本:Alan J. Pakula
  • 原作:John Grisham
  • 出演:Julia Roberts, Denzel Washington, Sam Shepard