2016年7月20日水曜日

About Time (2013)

タイム・トラベラーの系統を持つ主人公が時間の大切さを理解していく、というちょっと変わった設定の、Richard Curtis 監督ヒューマン・コメディ。

セリフのひとつひとつにウィットが効いていて、観ていて楽しいし、ハッピーになれる映画です。
Rachel McAdams の笑顔もいいですが、父と子のやり取りは泣かせます。

父の教えもあり、平凡(Ordinary)な日々の一瞬一瞬が、大切な人生の一場面なのだと、あるとき主人公は気づきます。コンビニの店員の顔をしっかり見て、彼女の笑顔に気づくことができた、そういったことが大事なのです。

やり直しの効かない人生ですが、今という時間を大切にするかしないかは、自分の心の持ちようでしょう。

2016年7月17日日曜日

Platoon (1986)

知らなかったですが、"Platoon" って小隊ってことなんですね。冒頭に "September 1967 - Bravo Company, 25th Infantry..." とクレジットされますが、「第25歩兵師団のB中隊」ということだそうです。
その小隊を舞台にして、ひとことで言うと戦争の不条理を描いています。

戦争の中にも良心を貫こうとしたエリアス軍曹、生き残り方を知り抜いているバーンズ軍曹、実戦経験が少なく頼りない小隊長、アンブッシュ、行軍、トレンチ、麻薬、レイプ、仲間割れ、罪のない住民の惨殺、人種差別、虫、ヘビ、士気の低下、仲間の死...
最後には小隊がほぼ殲滅状態となってしまう中、主人公は瀕死のバーンズを撃ち殺します。
しかし、勧善懲悪の構図ではなく、主人公は、最後に自分はエリアスとバーンズの子のようだと言います。
良心は必要ですが、そもそも戦争自体が殺人である以上、きれいごとでは済みません。自由な部隊ではなく統率の取れた部隊でなければ生き残れません。騙されないようにするには脅しも必要になります。

これは戦争という非常時の姿なのか、それとも人間社会の縮図が非常時にあぶり出されているのか。

2016年7月9日土曜日

Avatar (2009)

もう7年前になりますか! 当時3Dが流行ったよね! 劇場で見たときはさすがにすごかった。
その映像美もさることながら、世界観がすばらしい!

痛烈な人類批判。あるいは世界を征服していった西欧文明批判。
自然と調和した豊かな生活を営んでいる種族を、猿と呼び、物欲のために恐怖と力で征服していく。

おそらく、古代の人類も、このパンドラのナヴィのように、自然とつながっていたんだろう。自然と一体となった、特別な能力を持っていたんだろう。人類は、古代からみてどんどん退化している、そんな話も聞いたことがあります。

豊かな感性、自然と対峙するのではなく自然と共生するライフスタイル、この映画はそういったものがなくなっていくことに対する警句なのでしょうか。

さらに、アバターではなく、自分の生を生きろ、とも言われているようです。

2016年7月3日日曜日

くちびるに歌を (2015)

アンジェラ・アキの「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフにした青春映画。

恋人が交通事故で死んだのを自分のせいと感じている臨時教師、父に裏切られたと感じている両親のいない合唱部の部長、自閉症の兄の面倒を見るために生まれてきたと人生を捉えている男子部員。
それぞれの困難な人生を抱えながら生きている様々な人たちが、みんな一人ではないと気づきながら再生する物語です。

僕がこの中で一番心を動かされたのは、自閉症の兄の存在です。
この障害で、なかなか普通の生活はしづらいのですが、人の心は分かってあげられ、また彼なりに自分は生まれてきてよかったのだろうか、と思っているようなのです。彼の気に入っている「船の出港の汽笛音」がこの再生の物語のカギになっています。
アンジェラ・アキの書く歌詞には「人生の全てに意味がある」と言いますが、全ての人生に意味があるということなのでしょう。

長崎五島列島の美しい自然がふんだんに、ときには執拗に使われており、音楽や俳優の美しさと相まって、ピュアさを引き立たせています。

こうして、十五才であろうとなかろうと、将来や過去の自分に手紙を書いてみるのも悪くないかも、と思いました。