
当時、黒澤映画の大作、と喧伝されていたので、少し構えてたんですが、それほど堅苦しいものではありませんでした。
信玄に影武者がいて、死後世間を欺いていた、という設定で、主人公は、その影武者で小泥棒の男。
姿形が似ているというだけで、逆さ磔の刑から救い出された下賎の者。
仲代達矢が好演しています。
そもそも全く違う境遇に放り込まれて大変な目に遭いますが、そこがこの映画の「おかしみ」があるところ。
唯一孫には見抜かれてしまいますが、人がいいのか孫に好かれるあたりが、ただの市民ぶりを感じられて、ほっこりするところじゃないでしょうか。
人間模様だけをクローズアップすればいいところを、結構戦闘シーンに時間を使っちゃってます。
これだけで予算数倍でしょうね。
時代考証的には、サラブレッドのような痩身の馬、天守付きの城郭、駕籠、バンバンの鉄砲劇等、違和感ありありですが、分かっていながら、という映画的な対応でしょうね。
特に今回は、海外向けでもあったわけですから。
黒澤ファンの Coppola、Lucas が海外プロデューサーとして クレジットされてます。すごいですね。
主役の勝新太郎が撮影初日で監督と衝突して降板となったので話題になったのかな。そういえばそんな噂聞いたことがあったような。
勝新の小物ぶりも見たかったなあ。
- 監督:黒澤明
- 脚本:黒澤明、井手雅人
- 出演:仲代達矢、山﨑努、萩原健一、根津甚八、大滝秀治、隆大介、油井昌由樹、桃井かおり、倍賞美津子
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