ウィンストン・チャーチルの首相就任後1ヶ月の苦悩を描いた映画です。
チャーチルは電車にも乗ったことのない貴族であり、演説の得意な自信家であり、ドランカーであり、主戦派として描かれていて、事実そうだったと思われます。
首相就任の最初の演説は、自らの保守党から総スカン。保守党は、チャンバレンとハリファクスによる宥和派が主流だったからです。
ナチス・ドイツがベルギー、フランスへ進攻する中、いよいよ次はイギリスという状況になりつつあり、流石のチャーチルも、ドイツとの和平交渉へ動くかどうかを深く悩みます。
暗闇の部屋へ訪れたのは、ジョージ6世。気に食わないチャーチルに賛同します。そして市民の声を聞くようアドバイスします。市民の声に後押しを受けて、チャーチルは演説に臨みます。
政治家として1つ成長した、というストーリーかと思います。
ここでイギリスが踏ん張らなかったら、という意味で、チャーチルは自由主義陣営の英雄のごとく扱われます。宥和論の中で一人主戦論を張り、全体主義と戦った、と。
しかし、これこそ「勝てば官軍」ではないかと思ったりします。
日本も八紘一宇の理想を掲げて戦争をしました。僕が一番バカだと思うのは、パールハーバーを攻撃してから1年半後にはミッドウェーでターニングポイントを迎えておきながら、そのままま3年も戦争を続けた戦争指導者の無能さです。最後には本土玉砕を掲げて、市民を巻き添えにしていきます。
しかし、これはチャーチルと何が違うのか。チャーチルの勇気はかいますが、冷静さを欠いた判断だったかもしれません。多くの市民の犠牲を払いました。アメリカが参戦しなければ難しい局面に立たされていたでしょう。パールハーバーを一番喜んだのはチャーチルだったかもしれません。
歴史は勝者によって正当化されます。
日本は敗者になることによって、否が応でも反省することになりますが、おそらく勝者には反省はないでしょう。
Director: Joe Wright
Writer: Anthony McCarten
Cast: Gary Oldman, Lily James, Kristin Scott Thomas
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