上村松園の生涯を描いたということで、かなり興味を持ってみました。
まあ、モデルであって伝記ではないので、かなり脚色が入っていることは素人目に見てもわかりました。
一方で、絵を描くことへの一途さは伝わってきました。
女の哀しさを表したかったのかもしれませんが、そんなことよりも、絵への一途さ、絵が優先順位が一番高かった人だったんだな、ということを強く感じました。
その代わり、絵を描くこと以外は不器用というか、うまく生きられないというか。
そりゃそうですよね。絵に集中してるんですもん。そんな人生カッコいいなあ。
絵以外では、男をうまく利用しているようにも取れ、一方で男からうまく操られているようにも取れ。物事の前後をあまり考えず、一方でしたたかさもあるような。
宮尾登美子の原作では、松園の母が主人公のようですが、映画では松園本人が主人公です。名取裕子、当時26歳、ほとんど映画経験のない中、いい感じを出しています。今の大御所感ゼロでフレッシュなのがグッド。
また、映画の全体的な雰囲気を作り出しているのが全編にわたって使われている京言葉です。はんなり、やんわり。今は関西弁の一型体みたいになってますが、こうやって聞くと、明らかに違いますね。京の街、京の言葉、京の人々、この映画を作った人たちは、京を描きたかったんだろうと思います。
監督:中島貞夫
出演:名取裕子, 岡田茉莉子、佐藤慶, 風間杜夫、水沢アキ
|
|