2020年8月27日木曜日

ローレライ (2005)

不思議な映画でした。

太平洋戦争の末期を舞台にして、女性の人間探知機が活躍するという、戦争ものとファンタジーがまじりあったおかしな世界です。

潜水艦"伊507"は、広島、長崎の後に東京に原爆が投下されることを必死に阻止しようとし、見事に成功させます。

話が突飛すぎて、なぜ東京に原爆が投下されようとしたのか、それがローレライ確保とセットになっているのはなぜか、首謀者は最後自殺するが、本当の狙いは何なのか、さっぱりわかりませんでした。

ただ、乗組員の、国を守ろうとする心意気だけは感じました。

原作:福井晴敏
監督:樋口真嗣
脚本:鈴木智
出演:役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇他


2020年8月14日金曜日

My Left Foot (1989)

脳性小児まひで左足しか使えない、画家で作家の Christy Brown の伝記映画です。
1989年というのは、僕が社会人になって2年目ですが、当時この映画のことは全く知りませんでした。
というか、話題にもならなかったんじゃないでしょうか。

場所はダブリン、レンガ職人の貧しい家の22人兄弟の10番目として Christy は生まれます。
周りに厄介者と思われていた Christy ですが、家族やドクターの支えで、文字を書き、絵を描くようになり、結婚をします。

まずは家族ですね。母は Christy を見守り、認め、たくさんいる兄弟は Christie を優しく応援します。
Christie 自身もジョークで家族を和ませます。
ドクターは発声方法を教え、本を与え、恋の味を教えます。

映画では、家庭のいいところしか描いていませんが、きっと大変な思いをしてきたことでしょう。

Christy が感情をうまくコントロールできないところも描かれてます。感情をコントロールすることの訓練が足りないのか、そもそもコントロールできない障害なのか。

Director: Jim Sheridan
Cast: Daniel Day-Lewis, Brenda Fricker 


Get it on Apple TV

2020年8月10日月曜日

The Way We Were (1973)

追憶

Barbra Streisand の映画を見たのは実は初めてでした。
ユダヤ系で、ブロンクス育ち。ついでに強烈な民主党支持者。
この映画は彼女のために作られたようにも思います。

はっきりした顔立ちではあるものの、超美人ではないことが彼女の強みかもしれません。この映画のようなラブロマンスの場合、ちょっと応援したくなります。特に、相手が絵に描いたような美男子 Robert Redford ですからなおさらです。

この映画では主人公 Katie の一途さ、頑なさが印象に残りました。
真っ直ぐな目。
一方の Hubbell は、裕福な優男。彼の初小説どおり、母国同様イージーな人格です。

人間というものはお互いが持っていないものに惹かれるんでしょうか。しかし、その違いが許容範囲を超えると破局を迎えてしまう。
悲しいですね。

愛情はそれを乗り越えられない。

主義主張的には、イージーなアメリカという国に対して、キチンとものゴトをやろうとするカウンター・イデオロギーの対立を主人公たちに仮託しているみたいに見えます。

タイトルから言えるのは、過去形であること。あの日の恋。あの日の生き方。
基本的には、「マリーゴールド」と同じです。
誰にでもあるような過去は共感を得やすいんでしょうね。

Katie の強い眼差しは、大江千里の「REAL」を思い出させました。


Director: Sydney Pollack
Writer: Arthur Laurents
Cast: Barbra Streisand, Robert Redford, Bradford Dillman


Watch on Apple TV

序の舞 (1984)

上村松園の生涯を描いたということで、かなり興味を持ってみました。

まあ、モデルであって伝記ではないので、かなり脚色が入っていることは素人目に見てもわかりました。

一方で、絵を描くことへの一途さは伝わってきました。

女の哀しさを表したかったのかもしれませんが、そんなことよりも、絵への一途さ、絵が優先順位が一番高かった人だったんだな、ということを強く感じました。

その代わり、絵を描くこと以外は不器用というか、うまく生きられないというか。

そりゃそうですよね。絵に集中してるんですもん。そんな人生カッコいいなあ。

絵以外では、男をうまく利用しているようにも取れ、一方で男からうまく操られているようにも取れ。物事の前後をあまり考えず、一方でしたたかさもあるような。

宮尾登美子の原作では、松園の母が主人公のようですが、映画では松園本人が主人公です。名取裕子、当時26歳、ほとんど映画経験のない中、いい感じを出しています。今の大御所感ゼロでフレッシュなのがグッド。

また、映画の全体的な雰囲気を作り出しているのが全編にわたって使われている京言葉です。はんなり、やんわり。今は関西弁の一型体みたいになってますが、こうやって聞くと、明らかに違いますね。京の街、京の言葉、京の人々、この映画を作った人たちは、京を描きたかったんだろうと思います。


監督:中島貞夫

出演:名取裕子, 岡田茉莉子、佐藤慶, 風間杜夫、水沢アキ