2022年11月24日木曜日

ドライブ・マイ・カー (2021)

村上春樹の短編小説の映画化だけあって、村上ワールドをよく表現できていると思います。
静かな降り積もるような悲しみ、生きていくことの辛さ、感情の抑揚の少なさ、それでいてスタイリッシュ。

村上春樹の短編集『女のいない男たち』に所収された「ドライブ・マイ・カー」をベースに、「シェエラザード」「木野」の一部をモチーフにして物語を膨らませています。
また、劇中で実際に演じられるチェーホフの『ワーニャ伯父さん』も重要なパートを構成しています。

同じような悲しみを背負った親子ほど年の離れた2人の人間の車を介した交わり。
人は究極的には分かり合えない。
取り返しのつかない後悔、それでも人は生きていかなくちゃならない。
それが人生だから。

愛する、ということと分かり合える、というのは同意義なのだろうか?
愛する人が別の人を求めることに、なぜ心が苦しくなるのだろうか?
求めすぎることから解脱せよ、と釈迦が解いたように、何千年の昔から人間はこうなのだ。
あるがままを受け入れて生きていく、妻の浮気相手の若い男になぜかある夜説諭される。

当初釜山が舞台だった映画は、コロナで舞台を広島に移して撮影されます。あえて言うなら、瀬戸内の美しさをもっと表現して欲しかった。


  • 監督:濱口竜介
  • 出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか



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