2018年5月13日日曜日

Arrival ―メッセージ― (2016)

見終わった後、涙が出てきました。
静かな空気と荘厳なサウンド、一貫した陰鬱な暗い画面。決してハッピーな映画ではありませんが、心の奥深くに問いかけてくる映画です。

日本語タイトルは「メッセージ」、原作は Ted Chiang の短編小説 "Story of Your Life"。そう、これは僕たちの物語なんです。

SFの形を取っていますが、Ted Chiang にとって、これは異生物とのコンタクトの物語であっても何でも良かったのだと思います。言語を通じて時間を自由に解釈できるようになる能力を人類に身につけてもらうこと、それがエイリアンの目的で、言語学者である主人公はエイリアンとの対話の中でその力に目覚めていきます。

UFOの出現と娘の死という個人的な話が交錯して進み、最後に思いもよらない形でその2つが結びつきます。

そしてエンドの主人公の決断。人生は幸せなことだけではなく、死や別れをはじめとして苦しく辛いことに溢れています。それでも私たちはそれを受け入れ、向き合っていくのだということを強く感じました。

SFとしては、まさに「未知との遭遇」ですし、「エイリアン」「宇宙戦争」にも似たところがありますが、エイリアン「ペプタ・ポッド(7本足)」の描き方からして秀逸だと思いました。監督の Denis Villeneuve の力ですかね。それと Jóhann Jóhannsson のサウンドです。過去のエンカウンター系の映画はすべてチンケに思えます。